048
思い描いていたのはこの風景。
人生の最後に、地球の最後の思い出に、リングに向かってダンクすることだった。
それも相手は親友の浜太一。
これ以上に無い最高のシチュエーションだった。
僕の突然のリングへの跳躍が予想外だったのか、太一のブロックが少し遅れたように見えた。
太一は、空中で完全に振り切った。
まるで時がゆっくりと流れているかのような感覚。
片手で持ったボールを伸びきる頂点まで持ち上げて、最高の喜びを噛み締めながら、バスケットボールをリングの中心へと力の限り突き刺した。
鉄が軋む
……響く?
バスケのゴール音が響いたのだ。響くほど静寂だった。僕のプレーに唖然としていたのだろうか。
先程の秀のときと同じようにバスケ部は
それどころか、陸上部やサッカー部の掛け声も、校舎から聞こえてくるトロンボーンの音も、車が走る音も小鳥が
何も聞こえない。聞こえてくるのはバスケのゴールが
そう感じただけかもしれないけれど。
ボールが床へと落ちていく。
だけど何も聞こえない。
そして、タンッとボールが地面に落ちた乾いた音。
ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ
僕の着地と同時に、紅白戦終了のブザーが鳴った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます