022
僕は怖かった。恐怖に包まれていた。
僕は泣いている。しゃがんで腕に頭を
右隣に誰かいて、僕の頭を
その人が撫でていた手を背中へまわした。そして僕の全体を包むように僕の左腕にまで手をまわし、僕に体を密着させた。
その人の体温を感じた。耳元にその人の吐息を感じた。僕は顔を埋めたままその人を感じた。
耳元でその人の歌う声がした。
さあ行こう
前を向いてこう
日々歩いてこう
君の声がした
泣いて前向いてない僕を
君は連れだした
泣いて笑った 野を駆け廻った
何でもない日々が過ぎていく
触れて愛した 君を愛した
何でもない日々が過ぎていく
その人は
「元気を出して。由人」
そう言うと、その人も小さな声で、僕の耳元で泣き始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます