人間国の作戦会議②
自国の問題については、また後日談協力することで話をつけて、魔大陸への侵攻について議題を変えた。
「それで、どういう方法で魔大陸へ攻め込む予定ですか?」
エリザ女王は、1番戦争に詳しいであろうバースト皇帝に質問した。
「うむ、今回は勇者がおらぬのでな、余り好きではないが、物量戦になるであろうな」
「兵の数は十分だとして、問題は海を越える船が足りませんね」
「いや、船に関しては今ある物を総動員すれば1度に3万は運べる。最初の軍勢で、拠点を制圧して陣頭橋を作り、また往復すればよい。片道3日ほどだ。荷詰めに1日掛かるとしても、一週間で往復できる。3万も居れば十分に守れるであろう」
バースト皇帝の話に賛同する声が上がる。しかし、問題を指摘する声もあった。
「問題はそんなに大勢の軍勢を集めれば、魔王にも知られてしまいます。また隕石を落とされれば一網打尽にされるのは我々ですぞ?」
その指摘にオーフェン法王が助言した。
「いや、滅んだバドギド王国に兵力を集めるのではなく、海に面している国々が決起日を決めて、それぞれ船をだせばいい。集合地点は魔大陸で、海上で合流すればよいのだ」
おおっ!確かに!?
周囲から納得した声が上がった。
「すみません、万が一、海上であの魔法を落とされる可能性はありませんか?」
「いや、可能性はゼロではないが、私はないと思っている」
「それはどうしてですか?」
オーフェン法王は髭を弄りながら答えた。
「うむ、バドギド王国から魔大陸まで船で約3日の距離だ。そこにあの魔法を落とせば、魔大陸にも大きな津波が発生して、大規模な損害を被るからだ。これは魔大陸に上陸してからも言えるだろう」
「な、なるほど。確かに……!?」
あれほどの大魔法、自分の領地で使えばメチャクチャになるのだ。
「では、余力がある内に早く決行日を決めましょう。正直、民の不満が溜まってきているのでね。魔王討伐で不満を解消したい所ですな」
それはここに集まった首脳陣が感じていた事であった。
「では、早めに予定を組むとして他の国も精々騎士団の訓練を厳しくしておくことを言っておく。敵を目の前に逃げ出す腰抜けは要らぬ!」
バースト皇帝は自国の恥じを他国でも当てはまることを暗に示して、錬度を上げるように伝えたのだった。
そしてこれは当たっていた。他国でも魔物の討伐は亜人にやらせて、自国の兵士達は戦っていなかったのだ。故に、弱体化が進んでいた。過去の大戦を生き抜いた猛者は高齢化が進み、ほとんどが退役していたからだ。
その中で、バースト皇帝すらも忘れている事があった。今まで、録な装備も与えられず命懸けで戦わせられていた亜人達が、魔大陸に多く保護されていることに。
さらに、奴隷として無理矢理戦っていた時と違い、自らの意志でシオンを守ろうと、ヤル気になっている事を知らなかった。
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