城落とし

王城の城門の前にたどり着いたシオン達は、目の前を見ると、深い掘りがあり水が張ってあった。そしてつり橋は上がっており、城門も閉じていた。


「………地獄業炎(インフェルノ)」


ドッーーーーン!!!!!!


シオンの放った魔法は一撃で城門を破壊して、周囲を炎で染めた。


「飛び越えて行くわよ!」


10メートルはある掘りをシオンは軽くジャンプして城へ入った。


そう!シオンは空を飛べないのである!

他の仲間や魔法で飛んで中に入った。


すぐに城の中にいた兵士達が集まってきた。

マモンやレオなどは臨戦態勢に入った。


「待って、最初は私がやるわ」


そう、人間との戦争の火蓋は次期魔王である私が切らないといけないから………


「貴様ら!何者だ!?ここが、バドギド王国の王城と知っての狼藉か!!!!」


へぇ~この国の名前ってバドギド王国って言うんだ?初めて知ったわw


「ええ、知っているわよ?」


シオンは腕を振って決めポーズを付けて言い放った!


「聞きなさい!私の名前はシオン!次期魔王よ!今日、この国は滅びると知りなさい!」


ババッン!!!

と、後ろに効果音があるように決めた!


「なっ!?次期魔王だと!」

「貴様が獣人達などの亜人に対する虐殺を止める為に立ち上がったのよ!」


シオンは魔力を身体全体に纏わせた。


「ふん、その程度の人数で何ができる!皆の者!逆賊を殺せ!!!」


兵士達が襲ってきた。シオンは目の前の空間から『刀』を取り出した。転生勇者達が伝えたもので、ドワーフに打ってもらったのだ。


「………今、すべての気持ちに区切りをつける!!!」


ザンッ!!!


シオンが刀を振ると、襲い掛かってきた5人の兵士が一太刀で半分に斬られた。

血が吹き出し地面を赤く染めた。


「思ったよりキツくないわね」


シオンは人間を殺めても、冷静な自分がいる事に内心驚いていた。


『脳内の声も聞こえてこない。いける!』


「さぁ、国落としを始めましょう!『私』が許可するわ!向かってくる敵を殲滅しなさい!」


そう、すべての責任は私が取るから。

真っ先に反応したのはレオだった。同族である獣人が奴隷となり、ゴミのように捨てられていたことに1番怒りを溜めていたのだ。


「ウオォォォォォオオオオオオオ!!!!!!!」


漆黒の鎧を身に纏い、炎の魔剣で王国の兵士達を斬り伏せていった。


『師匠には前線の戦士は1番冷静にならないといけないと言われていたけれど、もう無理だ!シオンが憤怒してくれたから、少し冷静になれていた。だが、同族をゴミの様に死なせて、年端もいかない子供に埋めさせるなんて悪魔でもやらない所業だぞ!クソどもめ!!!』


雄叫びとともに飛び込んでいった。


「こ、こいつら強いぞ!早く応援を呼んでこい!」


王城の中庭の奥に配備されている宿舎には約100名ほど詰めている。さらに城の中には近衛騎士団が50名ほどいる。城を守る常備兵力はそのくらいである。


少ないと思うが、実際の多くの兵士は城の外にある兵士専用の宿舎に住んでいる。無論、下級兵士などは自宅から通っている者もいる。


外から援軍を呼べばすぐに千人以上の兵士が集まってくるだろう。


シオンが派手に城門を破壊したので10分もしない内により多くの兵士が集まってくる。それなのにシオンには余裕があった。


「くはははっ!子供達ばかりに良いところはやらんぞ!我が妻を罠に嵌めてなぶり殺した人間達を皆殺しにしてやる!」


大悪魔と呼ばれるだけの魔力を持っているマモンも、上級魔法を連発して兵士達を屠っていった。


シトリンだけは後ろから仲間が危ない時だけ援護して、第三者の目で戦いを見守っていた。


『主殿………私は貴女が変わらないことを願う』


今のシオンの側にいる事に居心地の良さを感じているシトリンは切に願った。


「よし!正面が手薄になったぞ!突入する!」


兵士の層が薄くなった所をみて一斉に駆け出し、城へと入って行った。






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