頑丈な歯でバリバリと
シオンがリリアに乗って魔大陸の港街へ向かった。
シオンが魔大陸で感じたことは、魔大陸は前世の感覚で言うならサファリパークのようである。知性のない肉食獣など放し飼いであるのだ。ただ本能的に自分より強い者には襲わないようになっている。
でも、まだシオンより強い魔物は多くいる。なので比較的安全な空を飛んで移動するのが一般的なのである。
1時間ほどで魔大陸の港街へたどり着いた。
魔大陸は濃い瘴気により、大陸の大半が黒い曇に覆われ、滅多に日が差さない。よって作物も『特殊』なものしか育たないのだ。
しかし、海沿いの限られた一部の土地は潮風で、黒い曇が跳ね返されて日が差すのである。
魔大陸にはヴァンパイアのように、人間の食べ物を食べなくても暮らしていける種族もいるが、人間の大陸から逃げてきた獣人族やエルフ、ドワーフといった種族などは、肉や魚、野菜など食べなくては生きていけないのである。
一部の魔物など濃い魔素のみで生活できるが、ほとんどの生物は食べ物を食べなくては生きていけないのだ。
ここ10年で人間達に迫害され、魔大陸へ逃げてきた獣人や亜人(エルフやドワーフなど)増加し、慢性的な食糧不足なのだ。
農業用の土地は多くあるが、先でも述べた通り、田畑にできる土地が限られているので、漁業が盛んである。
シオン達が向かったのは、港街とは言っても交易湾ではなく、自国の漁業をメインでやっている場所である。
「いつも活気があって凄いね!」
「うん、そうだねー」
シオン達は街の入口で降りると、メイン通りを歩いて行った。
「おっ♪シオン、あれが食べたいの!」
「いつも思うけどヴァンパイアって食べ物を食べなくても生きていけるんだよね?」
「食べ物が食べれない訳じゃないんだよ。食べたいものは食べたいのぉ!」
シオンはやれやれといった仕草で、良い匂いのする屋台へ向かった。
「おっちゃん、2つちょうだい!」
щ(゜▽゜щ)
「おう!元気なお嬢ちゃんじゃないか。今朝取れたばかりの新鮮な焼魚だぜ!」
シオンは屋台で串焼きになっていたサンマのような魚をお金を払い買った。
「う~ん♪良い匂い!」
「いただきまーす!」
秘伝のタレが付けてあり、味が付いていた。
リリアとシオンは焼魚を頭からバリバリッと食べた。そう、バリバリッとだ。
「こんな骨ばかりの魚なんて、普通食べないはずなのに、頑丈な歯のおかげでバリバリいけるんだよねー」
「このタレ味が美味しいのぉ♪」
二人は美味しく食事をした所で港へ向かった。
「今日はどんなことをするの?」
「今日は魔大陸の食糧改善の調査だよ!」
リリアは頭に?マークを付けてシオンに着いていった。
港に着くと漁船が多く停泊してあった。
「本当にここの港は盛況だね」
「そうなの。ここは魔大陸の食糧庫な所だからね」
リリアも勉強しているため、魔大陸の情勢についてはある程度知っていた。5歳では頭の良い方である。
「…………まぁ、人間達もそれは知っているから攻めてくるなら、まずここを狙うよね」
!?
リリアがびっくりした顔でシオンをみた。
「大丈夫!ここ以外でも大量の食糧を自給できるようになればいいのよ♪」
シオンはこの前知り合いになった人の所へ向かった。
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