戦わないOLの戦わない戦い

夜摘

序章「"あの女"の話」

苦手な同僚がいる。

美人だと評判で、社交的で、仕事が出来る人だ。

ああ、やっかみだと言われればそうだろう。

私はと言えば、顔は良く見積もって中の下。

人見知りで、言いたい事も言えず、仕事だってミスが多い。

上司や同僚にはそれなりに評価をしてくれたり、気遣ってくれる人もいるけれど、

ただ、その人たちが優しい人だと言うだけのような気もする。

そんな風に、卑屈な自分も嫌いなのだけど。


とりあえず、そんなこんなで話がそれたのを戻そう。

私には苦手な同僚がいる。

その子は私にも笑顔で話しかけてきて、好きな芸能人の話やら、

家で飼っている猫や、彼氏の話を楽しそうに話し続ける。

私は、それをただただウンウン…と聞いているのが職場での日課である。

楽しいかと言えば、実を言えば別にそこまでではない。

彼女が楽しそうだから良いか…というだけの話で。

そしてそれを行わないと彼女の機嫌がただただ悪くなる。

だから私は自分の心の平穏の為に、ただただ頷く人形のように

ウンウン…ウンウン…と頷いているだけなのだ。

そう、美人で社交的で仕事が出来る彼女は、

気分屋で我が強くてヒステリックな女だった。





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