第17話 【智慧之神】

 何処からか凛と透き通った声が晴人の脳内に響き渡る。深い意識から少しずつ晴人は浮上を果たす。

 晴人の意識が完全に戻ってきて、重たい瞼を持ち上げる。


「あれ…………何でこんなところで寝てるんだろう……俺どうしてこんなとこに」


 晴人が開いた瞼の先には純白の神聖さを感じる荘厳な大神殿があった。

 晴人は朦朧とした意識の中、神殿にて金色の林檎のような果実を口に入れた事を思い出す。


「そういえば、あれから記憶がないんだが、何があったんだろうか……」


 金色の林檎を一口齧っただけのはずなのだが、その、金色の林檎の食べ残しは何処にも残っていなかった。


「あれは一体何だったんだろうか……一応生きてはいるみたいだけど……」


 晴人は辺りに金色の林檎が落ちていない再度確認するが、やはり金色の林檎は何処にも落ちていない。

 そんな時に晴人の疑問を答えるようかに晴人の脳内に凛とした声が響き渡る。


『現状報告、個体名ハルト・タケナカが【智慧之神之果実】を吸収した事を確認しました。個体名ハルト・タケナカには【究極スキル: 智慧之神】が発現しました。さらに個体名ハルト・タケナカの【智慧之神】への登録申請を送信しました。処理を実行中、実行完了しました。個体名ハルト・タケナカは【智慧之神】へ承認認定されました』


 晴人の脳内には女性の凛とした声が響き渡った。

 晴人は女性の凛とした声にどこか聞き覚えがあった。


「あれ!? この声ってもしかして……いつもレベルアップの時とか、【ふしぎな果実】を吸収した時に流れてくるアナウンスと同じ声の人?」


 どうやらこの脳内に流れるアナウンスはどういう形か意思疎通が可能なようで、


『是、アナウンスとの声は同質のモノと判定されました』


「それで今脳内で話しているようだけど、君は誰なんだい? アナウンスと同じ声ということはわかったけれど……」


『解答可能。私は個体名ハルト・タケナカの【究極スキル:智慧之神】の権能そのものです』


 アナウンスの声の主が言うには今、晴人の脳内に響き渡る声の正体、アナウンスの声の正体が晴人が突然、入手した【究極スキル:智慧之神】そのものであると言う。


「そうか……納得いくような納得いかないような……それで何で俺はそんな【究極スキル:智慧之神】なんてヤバそうなものを手に入れたんだ? さっき【智慧之神之果実】と言ってた気もするけど、もしかしてあの金色の林檎がそれだったということか?』


『意味不明。個体名ハルト・タケナカの思考を解析。是、金色の林檎が【智慧之神之果実】と同一の物と判定』


 晴人はアナウンスから告げられる事を聞いて納得するのであった。


「やっぱりあの【金色の林檎】はヤバい奴だったんだな。文字化けも酷かったしな。それでその【智慧之神】というスキル自体は何も身体に悪影響は無いんだよな?」


『是、現状としては問題はありません』


 アナウンスの主の煮え切らない解答に晴人には不安が走る。


「その現状としては問題がないってことだけど、今後問題が出てくる可能性があるってことなのか?」


『是、現状としては問題はありませんが、今後、個体名ハルト・タケナカが【究極スキル:智慧之神】の権能に耐え切れない可能性、算出すると90%以上。よって個体名ハルト・タケナカにはレベルアップ、そして進化を推奨します』


 晴人はアナウンスの主の解答に驚愕を示す。


「それって現状にしっかりと問題あるじゃないかよ。それで【究極スキル:智慧之神】の権能に耐え切れないとどんな風になるんだ? 世界が権能の暴発によって消滅するとか?」


『否、世界には一切の影響はありません。【究極スキル:智慧之神】に耐え切れない場合、個体名ハルト・タケナカの魂が無数に飛散し虚無空間へと放出されることになります』


 晴人はアナウンスの主の説明に全く理解が追いつかなかった。ただ【究極スキル:智慧之神】に耐えられなくても、周りに迷惑を掛ける事はないので晴人は安堵した。


「周囲に害にならないなら取り敢えずのところは問題ないけれど、その魂が無数に飛散し、虚無空間へと放出されるってはどんな感覚なんだ?」


『解答検索、個体名ハルト・タケナカの思考を解析。解答可能、個体名ハルト・タケナカの感覚に近い形で表現すると、体細胞を一つ一つに分けられているのにも関わらず、意識はそのままでずっと空虚な部屋へと閉じ込められるということに似た感覚です』


 晴人は分かりやすくしたようなアナウンスの主の表現を聞いて


「いやいや一度もそんな経験したことないからわかんないけど! とりあえずヤバそうだってのはわかったよ……それで【究極スキル:智慧之神】に耐える為にも強くなれって?」


『是、個体名ハルト・タケナカにはレベルアップ、及び進化を推奨します』


 晴人はアナウンスの話を聞いて納得する。


「わかったよ、とりあえずアナウンスの言う通りにレベルアップと進化?を出来るように頑張るよ。それで進化ってのはどうすれば出来る様になるんだ? 今まで進化ってものが有るのも知らなかったんだが……」


『解答可能、個体名ハルト・タケナカの種族は人族ヒューマン故に、既に個体名:ハルト・タケナカはLv.100を超えている為、【進化の果実】さえあれば進化可能です』


 晴人はアナウンスの説明を聞いて、なるほどなと納得した。流石【智慧之神】というスキルだけあって晴人が今まで知らなかった事を簡単に答えてくれる。晴人はもしかしたら【智慧之神】なら、その【進化の果実】の場所も知っているのではないかと思い、駄目元で訊いてみる。


「【進化の果実】はどこにあるのかわかるかな? 近くにあるのならその場所を教えてくれたりしないかな?」


『解答可能、個体名【進化の果実】をここから10km圏内にて検索します。検索中。検索完了しました。検索の結果、10km圏内にて100件以上ヒットしました。地図を表示しますか?」


 晴人は【智慧之神】の有能さには感嘆せざるを得なかった。全く知らない進化という現象を知り、それに必要な素材の【進化の果実】という名称を知り、さらには【進化の果実】をいとも簡単に探索する能力までもある。

 晴人の感覚としては超有能なスーパーコンピューター搭載AI秘書を味方につけた様な気分になっていた。


「よし! ありがとう! って【進化の果実】ってそんなにあったんだね……全然知らなかったよ……あ! 話は変わるんだけどこれからは【智慧之神アテナ】と呼ぶ事にしよう! 長いと呼びにくいしね!」


『是、これより【究極スキル:智慧之神】は【智慧之神アテナ】へと改名、認証しました』


 晴人は【智慧之神アテナ】によってマップ表示された【進化の果実】を探しに行った。

 確かにマップ表示された【進化の果実】の元へとは向かうと小さな緑色の苺のような果実があった。


【鑑定SP】を使って鑑定すると、やはり【進化の果実】と表示された。


智慧之神アテナ】尋ねるとそのまま食べるだけで良いというので、晴人は言われるがままに【進化の果実】を取り込むと晴人の体が突如、発光を始めた。



 ピロリン♪



『報告、【進化の果実】を体内に吸収したことを確認しました。よって【進化の果実】の効果をステータスに反映させます』


 ピロリン♪


『報告、個体名ハルト・タケナカの進化要件を満たしている事を確認しました。【進化の果実】により、個体名ハルト・タケナカを【人族ヒューマン】から【貴人族ハイヒューマン】へと進化させます』


 こうして晴人は【人族ヒューマン】から【貴人族ハイヒューマン】へと【進化の果実】によって進化を果たすことになった。

 


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【名前】竹中晴人(タケナカハルト)

【種族】貴人族ハイヒューマン

 Lv.198/♾

【HP】12311000

【MP】11951000

【攻撃力】12101000

【防御力】12101000

【敏捷】12051000

【知力】12001000

【幸運】12101000

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【スキル】


究極アルティメットスキル

智慧之神アテナ



エクストラユニークスキル


【鑑定SP】【生産職人SP】



一般コモンスキル


【投擲】【刀剣術】【体術】【格闘術】


【跳躍】【飛翔】【瞬動】

【隠密】【威嚇】【擬態】

【気配遮断】【気配感知】


【水魔法】【炎魔法】【風魔法】【土魔法】

【雷魔法】【回復魔法】


【取得経験値10倍】【必要経験値1/10倍】


【創造糸】【猛毒生成】【状態異常耐性】

【大喰らい】



【採掘】

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【称号】


 【智慧之神】

 【神の園に踏み入れし者】

 【異世界人】


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