第2話 【ふしぎな果実】

 水色に光り輝く果実を食した際に、晴人の脳内に鳴り響いたピロリン♪というアナウンス音からわかったのは、その果実の名称が【ふしぎな果実】であるということだった。


 晴人はそのままじゃないかと突っ込みたい気分を盛大に堪える事にした。


 更に晴人にはもう2つわかったことがある。

 

 というのはまず一つ目が、この今晴人が居る場所が、名前までは分からないが、元居た世界ではなく別の世界だということだ。

 理由としては元いた世界であれば、脳内に誰かの声が突如として響くなんて、非科学的なことは起こり得ない。

 

 そして次にもう一つが、【ふしぎな果実】という名称の果実は食す事でどうやらステータスの項目をアップさせる能力を持つということだ。

 

 先程、突如出現したステータスであるが、ステータスは出現して以降、『ステータス』と念じるとポップアップしてステータスが見れるようになった。


 晴人はステータスの各項目について、詳しく見てみようと念じると、ステータスがポップアップして来た時と同じ様に、各項目の詳しい説明が表示された。


【種族】

 この項目はというと自分の種族がなになのかを表している。他にどんな種族があるかは今はまだ分からないが、晴人は種族変更しているということはなく、きちんと人族と表記してあった。


【HP】

 この項目はRPGお馴染みで、ヒットポイントの略称である。最も簡単な良いことをすると体力、生命力を表している。そしてこのHPが0に至ってしまうと、死に至るとのことだ。


【MP】

 この項目もRPGお馴染みで、保有している魔力量を表している。マジックポイントの略称である。

 この項目を見た晴人の心は激しく踊った。


 それも仕方がないことであろう。

 これがステータスに表記されるというのが意味するのは、この晴人が転移して来た世界にはあこがれの魔法があるということに違いないからである。


 もし異世界に来たということが分かったのにも関わらず、憧れの魔法が使えないとなったら、気分、モチベーションが下がるどころか、絶望してしまうだろうと晴人は考えていた。

 そんな晴人が魔法が使える世界へとやって来られたことに興奮しない方が可笑しな話であろう。


【攻撃力】

 この項目は文字表記が意味するままに、自分が攻撃を放った時に相手に及ぼす威力の度合いを示している。

 当然だが、この項目が高ければ高いほど、攻撃した相手へと大きなダメージを与えることができる。


【防御力】

 この項目は【攻撃力】と同様に、相手に攻撃された際にどれだけの相手の威力を無効に出来るかという能力である。


 この数値が高ければ高いほど、相手の攻撃を受け止めることができる。


【敏捷】

 この項目はというと素早さ、いわゆるスピードの度合いを表している。

 この値が高ければ高いほど、最高速度が速く行動することができる。


【知力】

 この項目はというと知能の高さを表している。だが【知力】はというと現世でいうIQのように高ければ高いほど天才であるという基準ではなく、この【知力】が高ければ高いほど、多くのことを覚えることが可能になる、いわばPCの容量キャパシティのような物だ。


【幸運】

 この項目はというと、この数値が高ければ高いほど、幸運なことが起きる確率が高くなるとのこと。


【スキル】

 この項目はというとファンタジー定番の技能のような物を示している。

 訓練して体得するスキルも有れば、先天的や奇跡的に入手するスキルであったり、条件をクリアすると得るスキルもあるとのことである。


【称号】

 この項目はというと、何かを成し遂げた者に与えられたり、特殊条件下に置かれた人物に与えられるものだという。


 


 水色に光り輝く禍々しい形をした【ふしぎな果実】だが、確かにその見た目を見ても決して食欲がそそられることは無いが、見た目と形の割にも美味しいのが意外である。


 味は現世で言うなればメロンのような甘い味で、それに加えて、食感はシャキッとリンゴのような食感である。


 晴人は見た目は最悪であるが、美味しい味に免じて、この【謎の森】でサバイバルをして、生きていくために当分の間はこの森でたくさん実っている【ふしぎな果実】を喰らうことにした。


【ふしぎな果実】は【謎の森】にはあちこちにたくさん実っていて、晴人のエネルギー源となった。


 そして晴人はエネルギー源となる【ふしぎな果実】を見つけては猿のように木に登って、手で捥いで収穫した。


 晴人は【ふしぎな果実】を探しながらも、他に食べれる物が無いか色々と【謎の森】を散策したが、中々見つからなかった。


 晴人はこの森で何とか生き抜いてゆく為、食糧として自分のメインのエネルギー源として、数多くの【ふしぎな果実】を喰らった。


 そして、【ふしぎな果実】を喰らうたびに晴人の脳内にはアナウンスが響き渡る。



 ピロリン♪



『報告、【ふしぎな果実】を体内に吸収したことを確認しました。よって【ふしぎな果実】の効果をステータスに反映させます』


 ピロリン♪


『報告、【ふしぎの果実:攻撃力UP】により攻撃力を1000アップさせます』



 晴人はこの森でのサバイバルを成功させる為、そして転移させられた異世界で戦う力を少しでも付けるために、【ふしぎな果実】を喰らった。


 ピロリン♪



『報告、【ふしぎな果実】を体内に吸収したことを確認しました。よって【ふしぎな果実】の効果をステータスに反映させます』


 ピロリン♪


『報告、【ふしぎの果実:防御力UP】により攻撃力を1000アップさせます』



 そして晴人は更なる力を手に入れる為に、できる限り【ふしぎな果実】を喰らい、力の糧とした。




 ピロリン♪

 ピロリン♪

 ピロリン♪

 ………………………………♪



 晴人が異世界の【謎の森】へと転移させられてから、【謎の森】でサバイバルする事一週間程が経った。



 そして、晴人が1週間【ふしぎな果実】を食した結果、到達したステータスがこれである。



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【名前】竹中晴人(タケナカハルト)

【種族】人族

 Lv.1/♾

【HP】15100

【MP】12100

【攻撃力】20100

【防御力】8100

【敏捷】13100

【知力】10100

【幸運】10100

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【スキル】なし

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【称号】神の園に踏み入れし者

    異世界人

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