第30話

「久しぶりだね!!雅之君。少し逞しくなったかな?」


雅之はあの事件以降、体を鍛えていた。久しぶりに再開した伊藤刑事の目には逞しくなり精悍な顔付きになった雅之の姿が目に映っていた。


「ご無沙汰しています。有難う御座います!!体を毎日鍛えています」



「そうなんだね!!雅之君がしっかりして、お祖母様は頼りになって嬉しいだろうね」


伊藤刑事がそう言うと、側にいたお婆さんは照れ笑いをしながら、笹の葉で包んだ手作りのおにぎりと沢庵が入ったお弁当を伊藤刑事と雅之に手渡した。


「お祖母様!?こんなお気遣いを有難う御座います。美味しく山の中で頂きたいと思います」


伊藤刑事は祖母の心遣いに深くお礼を言うと、雅之と一緒に車へと向かった。


「では、一日だけ雅之君をお預かり致します。しっかりと面倒のほうを見させて頂きますのでご安心下さい」


万が一の緊急連絡先を祖母に渡すと、雅之を乗せ、県内の有名な山へと向かったのだった。

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