サークル
リラは帰るなり『シャワーを浴びるわ』との事で、僕は玄関先でしゃがみ込んでいた。
「ユウト、何か悩んでるんか?急に元気無くなったで?」心配してくれるカアクに『心配ないよ』と僕は返す。
そこに、聞き慣れた声が僕に届いた。
「お帰り、ユウトくん。デートは楽しめたかい?」
傷口に塩、いや、これは尿路結石に筋トレとでも言おうか?
「何で先輩が居るんですか?」
そこに居たのはツカサ先輩。
確か、部活に行くって言ってたが…
「それが、シブに幻影を作って貰って部活に参加させたんだけど、これがまたサッカー上手くてね。自分のコピーらしいけど、客観的に見ても結構しっかりやってるものだ」
そう言って白い歯を覗かせる先輩と隣で小さく手を振るシブさん。
カップルかっ!? ま、眩しすぎる…
「と、いう訳で、俺も近くに住もうと引っ越して来たんだ。宜しくな!」
こういう時、何て言うんだっけ?
パードゥン? ワンモア? ワンチャン?
この部屋に三人って……僕の精神は乖離的に暴騰した!
『コラコラコラァ…無理無理無理ぃ……!』
「大丈夫だよ。隣の部屋を借りたからね」
成る程、納得しました。確かに、僕がリラさんと同じ部屋はまずいと思ってました。ツカサ先輩と同じ部屋に住む方がいいに決まっています。
「それに、一人暮らしは初めてでね。凄くワクワクしているんだ」
「有難う御座います。じゃあ、僕、先輩の部屋に荷物持って行きますね」その言葉に『何を言ってるんだい』と、首を傾げるツカサ先輩。
「俺は一人暮らしって言ったんだよ? それに彼女が来るかもしれないし」
リア充様の行動パターンを知らず申し訳有りませんでしたね!
そんな中、玄関扉が開錠される音と共にバスローブで身を包んだリラが扉を開いた。
「へえ、隣に引っ越して来たのね…ツカサさん。これからの事を考えると助かるわ」
髪の毛を拭きながらそう言う彼女だったが…
刺•激!がぁ! ふ…服を
「ははっ、なんだか熟年夫婦みたいだな」
ツカサ先輩の言葉に頬を染めて「何言ってんのッッ?!」と、語るリラに対し、僕は耳が熱くなる。彼女に何とも思われていない分、更に恥ずかしさが込み上げてきた。
「じゃあ、早速だけどツカサさんに報告があるの。着替えるからちょっと待ってて」
そう言うと、彼女は再び部屋の中に姿を消した。
「ユウトくん、これは脈アリだぞ」
というツカサ先輩の言葉は、自身に対してと云うことだったのだろうか?
……二人ならお似合いかもな。
その後、
僕の疲労もカアクのお陰か元通りになり、『尾染島』へは明日出発する事で決まった。
「じゃあ、リーダー。このチームの名前決めてくれよ」唐突にツカサ先輩が発言するが、誰に言っているのか分からず僕はリラに視線を投げた。
「ちょっと?何で私を見るのよ!? あなたがリーダーでしょう?」
正直訳が分からなかった。
でも、二人の眼差しの中に映っている自分の姿に、その意図を理解する事となる。
何故か、僕を認めてくれている。初めての経験だった。
「リーダーなんて柄じゃ無いから、務まらないけど、このチーム名は思いついたよ」
僕の中に沸き起こる熱。それは声にも伝播され僕の口から放たれる。
「罪の仲間、『ギルティーサークル』ってどうかな?」
こうして僕達は、この日チームになったんだ。
【次回予告】
タイトル回収完了! さあ、本格始動だよギルティーサークル!イヴェの巣は6つあるってさ! 張り切って行ってみよう!!
次回!『船酔い』
お楽しみに!!
––– 僕の
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