海とわたし
バブみ道日丿宮組
お題:汚い海 制限時間:15分
海とわたし
抜け殻が海には流れてる。
それは私がゴミを捨ててるから。
「……」
だから、その海で元気いっぱいに泳ぐ子どもたちを見ると、不思議でいっぱいだ。
海にゴミがあるのを知らないのか? あるいは海と一緒に泳ぎたいのか。
ただ疑問だ。
でもまぁ……ゴミを捨てることはやめられない。
これは仕事でもある。生きるためにしなければいけないことだ。
「……よし」
汚い海よりはきれいな海という人もいるかもしれない。
ただ私がはじめた頃には既にゴミが海底にたくさんだった。
はじめてそれを見たときは恐怖した。知らない手足……人の骨がそこにはあったのだから。
浅瀬はまだそういうのは見えないかもしれない。
けど、いつか目にする。
海は流れてくもの、はるか遠い国、きっと異世界からも流れてくる。
海と空は繋がってる。
例え反対側が殺伐としてひどい海であっても、海は海だ。そこだけがきれいだということはない。だって繋がってる。
純粋な心は純粋ではいられない。
不純物にいつかは変化する。
「いくぞ」
「はい」
グラサンをかけたスーツ姿の後を追う。
今日の私の仕事は終わった。
回収した異物を海に流す。そうするだけで数万円もの金額を手にしてる。危ないことだっていうことはわかってる。
けれど、もう私は目をつけられてしまった。誰かに助けを求めることなんて出来ない。他人と距離をとり、自分というテリトリーを維持し続けなければいけない。
そう……そういう世界に私は入ってしまった。
「……」
肩越しに振り返る崖は今日も神々しく太陽の光を浴びてた。
海とわたし バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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