気持ちという部分になにかある
バブみ道日丿宮組
お題:恥ずかしい君 制限時間:15分
気持ちという部分になにかある
「今の貴方であるならば、却下ね」
システムにそぐわないからという理由で彼女は僕を除外する。
理由はわかってる、ただそれでもーー、
「わかりましたーーでも」
「でもはないわ」
意見は通りそうもなかった。
「出直してきなさい」
「わ、かりました」
彼女がいうように僕はシステムに入れる才能を持っていない。そうしてこなかったのは僕が彼女の側にいるという利点だけを主体として持っていたから。笑顔が素敵な彼女を僕だけが見ていたから。楽しい時間を誰よりも一緒に過ごしたから。
「……」
自室に戻った僕は、その場に座り込み、体操座りしてしまった。
「うぅ」
他の人に負けない部分といえば、彼女を思ってる、愛してるという感情だけしかない。
ならば、彼女を守る君になればいいのではないかと考えを改めてみた。
のはいいのだけれども、やはり僕にはそれもできそうにない。
まず、社会性ができない。次に早寝早起きができない。そして第六感を持ってない。何一つとして秀でるものがなかった。そんな自分を側に置きたいと思う人間が果たしているのだろうか。
僕はいないと思う。
だからこそ、彼女は僕を否定したのだろう。ふさわしくないと。
でも、でも……。諦めるということはできない。
いつまでも隣りにい続けるのは僕でありたいと思ってしまうから。
「ーー泣いてても変わらないわ」
彼女が部屋に入ってきた。
「泣いてないです」
「そう。それならいいわ。貴方は貴方だけができることをしなさい」
それはいったいなんなのだろうか。
「側にいたいのであれば余計にね」
彼女の手が優しく僕の頭を撫でる。
「私は貴方に期待してるの。だからこそ、システムには組み込まないの。わかるかしら?」
「わかりません」
期待してるのなら、システムの末端にでも入れてほしかった。
「そんな拗ねた顔をしても結果は変わらないわよ。努力をしてほしいわけじゃないの。貴方が貴方でいられる自信の元を作って欲しいのよ」
「それはーー」
いったいなんなのだろうか。僕にしかないものなんてあるのだろうか?
「抗いなさい。それが貴方のためになって、そして私のためにもなる」
疑問だけを押し付けて、彼女は部屋から出ていってしまった。
彼女なりの元気づけだったのかはわからない。
「はは……」
わからないことだらけだな、僕はーー。
気持ちという部分になにかある バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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