知らない年賀状

バブみ道日丿宮組

お題:間違った年賀状 制限時間:15分

知らない年賀状

「なんだこれ?」

 夏の熱い日に一枚のハガキが俺の元へと届いた。

 それは紛うことなく年賀状だった。

「……おかしいよな」

「そういう国もあるかもしれない」

 部屋でくつろいでた彼女は俺の手元から年賀状を奪うと、宛名を凝視する。

「日本国内ね。海外ならほら熱い日にクリスマスがあったりするでしょう? そういうのはなさそうね」

「そうだね。それもそうなんだけど、服をいい加減着てくれないかな」

「そう? せいせいしてて快適なのだけど」

 部屋で全裸でいる人がいると話には聞いてるけど、彼女がまさかそれに該当するなんて……。

「幻滅した? 安心してあなたの前ぐらいでしかこうはしないから」

 それは嬉しい答えだ。

「何にしても不可解な年賀状ね。知ってる名前?」

「いや……全く知らないな」

 住所を間違ってるというわけではないだろう。マンション名、部屋番号と間違える要素はほとんどない。それに氏名にしたってよく間違わられる名前だからこそ、それを間違って書くことはない。

 配達員なんかしょっちゅう間違えるしな。

「浮気じゃないよね?」

「女の人の名前だけど、知らない人だよ。第一に年賀状だ。他に意味らしい意味はないだろう?」

 彼女は表面を見たり裏面を見たりと忙しくなく年賀状をくまなく調査した。

「ふーん。なら、この住所に行ってみるのも案としてはあるかもしれないわね」

「問題ごとに自分から突っ込むってか?」

 彼女らしい回答だこと。

「面白そうじゃない。知らない人が一方的にあなたを知ってる。もしかしたらストーカーかもしれない。そしたら警察に届けましょう」

 一手目で警察に行くのが一番安全な気がする。警察が年賀状で動くかはかなりあれだが。

「ストーカーにしても被害が出てるわけじゃないからなぁ」

「とにかく行ってみましょう。遠いわけじゃないし、電車でいける範囲よ」

 そうしてせかせかと下着を身につけて、普段着へと彼女は変わった。良かった、全裸でいくとかにならなくて……アタリマエのことだけど。

「ほら、行くわよ」

 服を引っ張る彼女にされるがままに、俺はこうして新しい事件へと首を突っ込むことになってしまうのであったとさ。

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知らない年賀状 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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