遅刻する理由ではなかった
バブみ道日丿宮組
お題:俺の理由 制限時間:15分
遅刻する理由ではなかった
「今日もまた遅刻?」
登校すると隣の女子生徒に声をかけられた。
「眠くてな」
「いつもそういってない? 早く寝てみたらどうかな?」
ちなみにこの女子生徒は幼馴染で、幼稚園からずっと一緒だ。それこそ同じ布団で寝て育ったといっても間違っちゃいないだろう。
「早く寝たら早く起きるだけだからな。いつ寝ても大して変わらないよ」
「また生徒指導室に呼ばれちゃうよ」
「そうなるかもな」
常習犯である俺からすると割とどうでもいい。
「親御さん心配するよ」
そう1つあるとすれば、海外にいる親が心配することだ。
「時差があるから連絡しようがないと思うけどな」
「でもさ、年に3回帰ってくるよね?」
「そうだな。その時に日常生活について聞かれるよ。お前もだろ?」
幼馴染は俺の監視役も担っていたりする。
親が帰国してまず最初にするのが彼女の家族を家に招いてパーティすること。豪遊という限りに料理が並ぶことは日常で、少し彼女たちは呆れてる。
でも、仲が良くて海外に呼ばれて行っていたりもする。
「私が誤魔化すのも限界だよ? できてないことはできてないっていうしかない。まぁ……できてることはかなり多いから……」
彼女は天井に視線を向けて、何かを考え始める。
「それでオーケーということにはならないと思うんだよね」
そうして答えが出たのか、視線を戻した。
「だいたい試験で結果を出してるのだから授業なんて意味ないんだよな」
「それはできる人の思考だよ。私はなかなかわからないかな」
「普段お世話になってるから教えてるだろ?」
そうだねと微笑む彼女。
「ご飯もちゃんと食べてくれてるけど……やっぱり朝はちゃんと起きてほしいな」
「なんなら子どもノときみたいに一緒に寝てみるか?」
「そうだね。それも1つの答えかもしれない」
ここで頬を赤らめないあたりが俺の幼馴染をやれてる一因かもしれない。
「一緒に寝ても起きてくれなきゃ変わらないよ」
「確かにそうかもな」
一理あり。
「まぁしばらくは放っておいてくれると助かる」
「また新しい本?」
「あぁ古代ギリシア語で書かれた文献なんだ」
そっかと彼女は時計に視線を向けて、
「お手洗い行ってくるよ」
席を立った。
俺はといえば、周囲から一瞬視線を浴びたがやがてなくなったのを確認して、カバンから本を取り出した。
まだ読書は終わってないからな。
遅刻する理由ではなかった バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます