面会時間
バブみ道日丿宮組
お題:せつない、と彼は言った 制限時間:15分
面会時間
病名不明という体で彼は中学を卒業して入院することになった。
解決できないということから入院費など医療に関係することは病院負担になった。そのかわり、実験という言葉があってるくらいの投与生活がはじまった。知らない名前を彼が説明してくれるけれど、どれもネットじゃ見つからないものだった。
「今日は学校でね。告白されたんだ」
面会にきてまず話題にする内容なのかはさておき、
「最近多いね。俺はされたことないからわからないよ」
彼は微笑んだ。
「私からの告白受けたじゃん」
「その状態で告白受けるとか浮気じゃないの?」
確かに。
「別に学校でどうしようと私の勝手でしょ。それに告白じゃないかもしれないじゃない。ほら、よくあるラノベでいう特別な相談とか?」
「そんなものがあるなら俺の病気もすぐに治りそうだがね」
確かに。
「でも、今日は浮気じゃないといえるよ」
「どうして」
「相手が同性だったから」
今日の放課後呼び出された場所にいってみれば、いたのは後輩の女子生徒だった。
「同性愛ってのもあるじゃない?」
「私はノーマルだから。それに彼氏持ちだから」
そういって断った。
彼のことは学校では話さないし、入学もしてないのでそんなのは知りませんと逆ギレされたものだ。不思議だね。告白されてたのになんで怒られてるんだろうか。スマホにあったツーショット見せたら納得したけど……。
彼はなんていうのだろうか。もしかしたら存在が危うい……のかもしれない。
「そう。それならいいけど、俺は彼氏らしいことほとんどできてないぞ? それでもいいのか」
「愛ってのは偉大なんだよ。どんなことがあっても信じられる素敵な言葉なんだよ」
「そうなのか? 冷めたり温まったりするのが愛って思ってたが」
確かに。
「でも、私は幸せだよ。こうして一緒の時を過ごせるだけでも満足してるの」
「俺は……俺はせつないよ。なにもできてない自分がいやになる。人との交流はあっても直接的なものはなにもない。そのうち誰でもよくなってしまうんじゃないかって不安になる」
ほら、といって私は彼を抱きしめた。
すすり泣く彼の頭を優しくなでる。数分間彼の泣き言を聞いて、
「ごめんな」
彼は私から離れた。
「いいよ。心のバランスをとるのも恋人の役目だからね!」
「そうなのか? そうだと嬉しいが」
その後本調子に戻った彼と面会可能時間ぎりぎりまで話した。
面会時間 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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