外の世界

バブみ道日丿宮組

お題:限界を超えた外側 制限時間:15分

外の世界

「やっぱ他の人みたいに外に行くべきなんじゃないですかね?」

「それはいわゆるフラグに該当するものでしょう。出ていった人が帰ってきた試しがないでしょ。脱出口が見つけたら帰ってくるっていって、かれこれ数週間」

「でも、ここにいたって何も変わらないじゃないですか。僕らも冒険に出て何かを見つけるべきなんじゃ?」

「トイレ、シャワー、おまけに食料もゲーム機もテレビも支給されてる。出ていく要素が1つもないわ」

「それでも飽きはきますよ」

「そのために人数が揃えられてるんじゃないの。会話という無限に近い遊びを体験できるわ」

「それはそうですが……」

「外の様子は知ってるでしょ? 豪雨、豪雪、落雷。酷い状態よ」

「ほんと自然災害の嵐ですよね。ここが停電しないのが嘘みたいです」

「それなりの施設ということでしょうね。でも、支給されてるということはどこからか人がやってきてるはずだわ」

「そうなんですよね。だから調べに出てく人もいるくらいですし」

「発見して捕まえてみればなにかここについてわかることあるかもしれない」

「どうですかね。徹夜したところで見つかりそうな気配はなさそうですが……」

「ならやっぱりここに留まっておくしかないじゃない」

「そうなるんですかね……納得はできかねますが」

「まぁとりあえず今日はこのゲームで遊びましょ」

「ロールプレイングゲームですか。これまた王道なやつを選びましたね」

「外に行けないならこれで外の気分を味わえばいいのよ」

「その発想はなかったです。でも……いい考えかもしれません。気分転換は大事ですし。あっ名前が変更できるみたいですよ」

「あなたの名前を採用するわ」

「まぁ……自由に使用できますから別にいいですけど、無理させないでくださいね?」

「初期マップで限界までレベルを上げてから進めるから大丈夫よ」

「とてつもなくブラックじゃないですか」

「そのほうがボスが倒しやすし効率がいいわ」

「そうでしょうかね。あぁ最初の敵はよくみるモンスターですね」

「この部屋の外もこんなのがいるのかしらね?」

「怖いこと言わないでくださいよ。出入り口は鍵かかんないんですよ?」

「そうね。トラップでもしかけてみる?」

「そしたらもし人が帰ってきたらかかっちゃいますよ」

「じゃぁやめましょう。ほら、ジュース持ってきて」

「わかりましたよ」

 腰を上げた少年の視線は自然と外を見つめていた。

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外の世界 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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