罪と人
バブみ道日丿宮組
お題:最強の罪人 制限時間:15分
罪と人
『世界がもしも誰かに裁かれるのだとしたら、それは最強の罪人に違いない』
これは歴史書に記載されてる誰でも知ってることで、実際に人が窮地に陥る際にあらわれるものとされてる。それは悪者であったり、正義の使者であったりする。
遠い親戚に必ず罪人がいるとも言われていて、子孫たちは告発されないか内心臆病になってる。
私にしてみたら、遠い出来事なのだから気にしないでいればいいのにと思う。その罪人は親であったり、兄弟であったり、姉妹であったりすることもあるかもしれない。
けれど、それは個人の違いだ。全員が罪を背負うことはない。してしまった本人がきっちりと罪を償うのが理想だ。
だが世界は優しくない。してしまったことの代償を子孫に償わせようとする。そのため誰かのことを調べようとはしない。
あるとすればーー、
「ーーまた読書?」
読んでた歴史書から面を上げると、1人の少女がいた。最近できた本読み友だちだった。
「あなただって本を読みに図書室にきてるじゃない」
「そうね。でも、ここらへんの本は読み終えてしまったわ」
なるほど。私も実のところ2週目に入ったところだった。
「今度できる大きな図書館に期待ね」
「情報通りだったら、ここの10倍ほどの量を持つという話」
かなりの量だ。学生の身で全部読みきれるか不安だ。
「その図書館噂なんだけど、入るにはなにかの資格がいるらしいよ」
「それは面倒くさい仕様ね。私たちは入れるのかしら?」
「どうだろう。罪を償った人にのみ歴史を教えようって話みたい」
他人の罪を知る前に、自分の罪を知れということだろうか。
でも、私が罪を犯したという事実はどこにもないはずだーーもしも知識を得ることが罪だというのであれば、間違ってはいないだろうが……。
「あたし、昔物を盗んだことがあるんだよね」
突然友だちがぶちまけた。
「そうなの?」
「でもね、あとでお金と謝罪にいった」
「なら、罪を償ったんじゃない?」
判断材料が少ない。
私たちはまだ十年と少ししか生きてない。自分が知らない罪がどれだけのあるかわからないし、調べようがまずない。
出来上がる図書館に入れればわかるかもしれないが……入れないのであれば、わからない。
まるで堂々巡りだ。
「じゃぁ、あたち帰る」
「そう」
手を振って、クラスメイトは図書室を出ていったので、私は読書に戻った。
罪と人 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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