最初のお話 お話聞きました。
翔太郎くんは何は恥ずかしくなり何も言えないままだ。
寺田さんはそれを感じ取ったのか一人、語るようにまた話し始めた。
「エンジニアに限らず、どの職業でも情熱を持って真面目に仕事して能力があれば学歴なくても未経験からでも十分稼げるし才能が伴ったらお金持ちになる事も充分に考えられるよ。ただ今はIT業界は人手不足で色々と酷い状況にあるんだ。確かに君が調べて見たものは一握りの本当だよ。で、そんな夢を見させてプログラミングスクールやオンラインサロンに勧誘してお金を落とさせる。君は高校生で進路に迷っていると言ってたね。」
「……はい」
翔太郎くんは小さな声で答えた。
「そうやって進路やキャリアに迷っている人間を陥れようとしているんだ。あ、ただ勘違いしないで欲しいのは全部のプログラミングスクールやオンラインサロンが悪いとは言わないよ。あるにはあると思うけど僕はあんまりいい噂は聞かないね。」
「そうなんですね…」
翔太郎くんは未経験でエンジニアになる方法として紹介されていたプログラミングスクールやオンラインサロンなども考えていたのだ。
「ごめん、そろそろ僕出る時間なんだ。1日居ると言ったのにさっき急に連絡が来てでないといけないんだ。」
「あ…すいません。お話、ありがとうございました。」
翔太郎くんはすぐに立ち上がって寺田さんにお礼を言った。
寺田さんはエレベーターまで翔太郎くんを送った。
「翔太郎くん、高校生の君の反応は…こう言っちゃ悪いけど面白かったよ。高校生って社会人になると独身男では触れ合う機会がないから楽しかったよ。話が出来て良かった。機会があればまた話したいな。」
古いエレベーターだからか遅いのか、待ってる間に寺田さんはそう言った。
社交辞令かも知れないが翔太郎くんは仕事の邪魔になってるのではないかと心配だったが安堵出来た。
翔太郎くんは迎えに来たエレベーターに乗り込んだ。箱が閉じられる時に寺田さんは丁寧にお辞儀をして翔太郎くんを見送った。
1階に着いて箱が開いた。雑居ビルを出て道路に出た翔太郎くん。昨日と同じように西日が照らした道路がオレンジに色に染まっている。
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