秘密の会議

 私がこの部屋に居る間、彼らは円陣に座って話し合いを続けている。が、何の話をしているかはよく分からない。多分その魔法の復活がなんたらって奴。まあ私はその円陣にすら入ってないんだけどね。まあ他人から見たら完全に部外者だし。それもそうか。


 私がこの部屋に来てどれ程の時間が過ぎたことだろうか。まだ話し合いは続いている。と言うよりさらに白熱してる気が……。

 「…だからこの事情を説明するには……」

「そもそも相手の考えや意見も知らず――」

「だいたいこれを信ずる者が彼らの中には居ないじゃないか!」

……なんと言うか、えらくまとまりのない集団ね。互いの考えや利益を中心として、全く違う人の意見を取り入れようとしないし、きっと目指す目標は同じなんでしょうけど、こうも立場が分かれるとねえ……。

 そう思っていると、あまり発言をしていなかったマルセイがようやく場を静ませた。

「皆、一旦落ち着こう。僕たちは今何をすべきだ?一人づつ聞いていくよ」

マルセイが時計回りに意見の交流を行う。ようやく一周しようとしたその時、マルセイが私にこう言った。

「ああ、カレロナ。君は何かあるかい?」

「……え゛」

思わずすっとんきょうな声が出る。ちょ、そんな急に振られても……。

「いきなりそんな事言われても困るわよ…!」

小声でマルセイに伝えるがマルセイは適当にあしらうだけでまともに取り合わない。周りの目が鋭くなっていく。

「うう……」

正直興味ないしなあ……。魔法なんて使わないし。無難な事言っておけば良いでしょ。

「ま、まあ相手の発言の事も考えて、その対策でもしておいたら良いんじゃない?」

皆が首を傾げながらも頷く。近からずも遠からずと言うことだろうか。議論はそれを踏まえながらも続いた。意見はあれ以外言うことないから、恐ろしく暇ね……。誰の気にも止めないでしょうから、多少は寝てても大丈夫でしょ……。


 ――おーい、カレロナー」

私を呼ぶ声、多分マルセイの声で私は目覚めた。

「ん……何よ」

「お目覚めのところわるいが、君に大事な話があるんだ。よく聞いてくれ」

咄嗟に身構える。こう言う時は大体が悪い知らせだ。

「今から、魔法反対派の人たちの意見を聞きに調査しに行ってくれ」

「それってつまり、スパイ見たいな?」

「まあそんな所だ」

あっさりとした顔で無茶な事を言う。もしバレたら誰が責任を……。

「まあ、頑張ってくれ。健闘を祈ってるよ」

拒否権は与えられず、私は強制的に外へ放り出されてしまった。

「……はあ」

やっぱり、良い知らせじゃなかったみたい。



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