第24話 白の宗主アルソスの話

「そなたが人質でも良いぞ それなら人質は一人でいい

それに 身の安全は保障する」ヴァルジニテ女王


火焔の女王の無体な条件に 白の宗主アルソスはため息をつきながら


「一年、人身御供になれば 御満足されると言った

 もう人質は出しません そちらも出さなくていいです」


「人質の末路は時に哀れです 何故なら貴方の叔父でもあったワイア伯爵の処刑に

当時まだ子供だった ご令嬢の姫 テイエ姫の悲劇」白の宗主アルソス


「私がしばらく政務を叔父に預けます 病気で一年静養する事にします


「手紙を魔法の伝書鳩に託します 

ここに来たのは 実は知っているのは

政務を手伝ってくてる叔父一人かなり説得されて止めらましたが 振りきりました」


「白の宗主になる前に父の側室が毒を盛り 幾度も病気になりましたから

了解されるでしょう 場所は誤魔化しますから心配ないです」


「ああ、ついでですが その側室と子供は

心が狂った別の側室に毒殺されました」


「貴方の玩具・・愛人になったと知れば 申し訳ないがこちらも

立場があります 内密にして幽閉でもされたらいい


生贄で獲物の犠牲者は私だけで十分だと思いますから」


「煮るなり焼くなり好きにされていいですが

私は不死に近い体力はありませんからね


祖母は人族でいたから 体力は期待しないでください

消耗して死ぬ前には休ませてください

毒で死にかけた事もあるから」


「それだけはお願いです

‥好きな人はあきらめません 一年待てば済む事です」

白の宗主アルソスが言いきる


「・・大丈夫なのか一年ほっといても」女王ヴァルジニテ


「彼女は私より20歳年上で未亡人 白の大貴族の娘

神殿に仕えています 疫病で死んだ夫と子供の事が忘れられません」


「彼女も疫病にかかり危うかった」


「でも、先程の伝書鳩の話

彼女に貴方の父王風の王ヴァルーサさまが創られた薬で助かった

その恩や礼もあります 本当に有難うございます


彼女の心の傷が癒えるのはまだ当分かかりますから」

白の宗主アルソス


「ふむ 我慢強いな

その根性どこで養った」目をぱちくりさせながら女王が言う


「私の母は身分の低い貴族の娘で無理やり側室にされました

本来なら私を苛めていた正室の兄が宗主になるはずでしたが

事件を起こして身分を剥奪されて幽閉されて自殺しました」


「実の母親も私を愛せずに殴られてばかりでした」


「優しかったのは

正室の子で異母姉と叔父と幼い弟でした」


「冷淡な父は政務と戦に忙殺されていました

耐えるのは幼い頃から馴れていますから・・平気です」


「あ・少し心が視たから言いますが・・ああ、あの無意識で働いてすみません

白の国では側室は認められていますが 重婚と兄妹婚はご法度です」アルソス


「そうか、そうか・・で、兄君何をやらかした?」女王ヴァルジニテ


「父の死を持ちきれずに毒を盛りました 父はそれで急死しました

あと二年は持ちこたえると薬師は言っていましたが 残念です

つい二か月前の話です」アルソス


「そうかそうか それは大変だったな それはぜひに慰めてやらねばならん

想うに まだ発情期もきてないし 年はいくつかな?」女王ヴァルジニテ


「21歳です」アルソス


「おおおつ!私より年下か それはそれは・・

乱暴な事をしてしまったすまん!白の宗主アルソス殿!」女王


「いえ、大丈夫です

本当にお美しいですよ火焔の瞳は宝石のように輝いている


時折・・色が少し薄くなったり深い赤に変化したり・・本当に宝石のようです

肌もきれいです・・健康的ですね・・・顔立ちも美しい 本当です

・・黒い長いウエーブがかかったくせ毛の髪も綺麗です・・」

白の宗主アルソスがしみじみと言う


「うふふっ・・口が達者だ・・褒め上手 本当は相当モテるだろう

もっと褒めてくれ 嬉しいから


で・・好物は?」女王ヴァルジニテ


「お酒強いです・・飲み比べ負けた事ありません・・・つまみは

チーズに干した肉・・ナッツも好きです」アルソス


「そうかそうか うんうん、私も酒は強いぞ 飲み比べをしょう

ふふふん・・で・・肝心の食事はどうした?

商人が来るから白の国の食べ物も簡単に手に入る」女王ヴァルジニテ


「好き嫌いはありません よく毒を盛られたから

保身で淡い味付の食べ物でばかり 食べていました」


「白身魚の焼いたものとか 硬いパンとか 

じゃがいものポタージュとか食べていました」


「お蔭で食が細いですね あまり食べません

よく毒を盛られたので 私は恐らく長生き出来ないでしょう」アルソス

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