異世界は夢の中で
樽尾太郎
プロローグ
夢、それは仮想と現実の間のその狭間、人はその夢で幸せになったり、嫌な気分になったりする。
しかし、目が覚めればその内容のほとんどを綺麗さっぱり忘れており、なんか幸せな夢だったなぁ、とか嫌な夢だったなぁ、とか、そんな漠然とした思いだけが残る。
夢で手にしたものは現実には持って来れないし、夢で起きたことは現実には反映されない、それが普通、それが常識、そう思っていた。彼女に出会うまでは·····
「湊君、君には私と契約をして欲しいんだ」
突然に黒装束を着た死神の女ミラは俺に言ってきた。
彼女は不躾に俺の部屋に入り込んで来て、嫌に目立つポニーテールを横に振りながらそう言ってきたのだ。
そこからが俺の非日常の始まりだった。
これは普通の中学生である俺と死神の彼女が送るある一夏の物語である。
「はぁ!はぁ!」
走る。ぐねぐねにねじ曲がった、通常じゃありえない道をただひたすらに走る。
何故って?もちろん逃げるためさ、後ろから迫ってくるあの化け物から。
「ヴォォォォォォォォォォォォォッ!」
「ひいいいいい!なんなんだよ!あいつは!?」
何故か俺をおってくる謎の怪物。牛のようで人間のようで、イノシシのようなその怪物は車程のスピードで俺の事を追ってくる。
「やっばっ捕ま·····っ」
俺が見た最後の光景はその怪物の汚い口の中だった。
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