フライシュッツ
ム月 北斗
酸と魚と必殺必中
超広域隔離区域、通称「ドーム」。
外と同じくらいの文明が残るところもあれば、映画によく描かれるダウンタウンのようなところもある。
そんなドームではこんな噂が広まっていた。
「どうしようもないほど困ったのなら、中央区で一番目立つ建物へ行ってごらん。そこには腕利きの『処分屋』がいるからね。ただし気を付けて、お礼は多めにね。」
そんな中央区で一番目立つ建物、私『
器用に二本足で立ち、箒を握って掃除をするウサギの先輩と、そして・・・
気だるそうに雑誌を顔に被せて天井を仰ぎ、足は机の上に置いている男
態度も悪ければ口も悪い、残念ながら彼がこの事務所の所長・・・
「ん?そろそろ約束の時間じゃね?」
ウサギの先輩が言った
今日は仕事の依頼に関する予約が入っていた
声を掛けられた所長がこれまた気だるそうに大きな
「ん・・・あぁ。ん~?だな、時間だ。陽鳥さん、準備してくれ。」
「はーい。」
私はドームの外からここへ来た。今日までに何度か小さな仕事を目の当たりにしているので準備には慣れている。
壁に付いた小さなボタンを押す
天井からフックの付いた鎖が垂れてくる、私と先輩がテキパキとそれを部屋の家具に繋ぎ残った鎖に掴まる
部屋の中央が二つに開く、下からはダークブラウンの床がせり上がってきた
鎖から家具を離し元の位置に置く、一瞬で部屋の雰囲気がガラリと変わって大人な感じを醸す
・・・これを毎回『お客様』が来るたびにやっている。以前、これについて所長に聞いたら
「ん~?気分転換・・・いや、お手軽なリフォーム・・・」
曖昧な返答、おそらく何も考えてないのでしょうね・・・
ウサギの先輩がおしゃれなスーツと帽子をかぶっていた、所長もまたお気に入りの色褪せた茶色のレザーコートを羽織っている。
私も自前の赤いコートを羽織り準備をする。
「ところで・・・
異能・・・このドームの中でちゃんと生きるためには必須と言っても過言ではないもの
「はい!・・・たぶん!」
「ホント~?あとでこの間みたいに人のケツすれすれに飛ばしてこないでよぉ?」
「オズ、あんま挑発すんなよ。・・・飛んでくるぞ。」
ニヤニヤと私を茶化す所長とウサギの先輩『オズ』さん
顔をむくれてみせる、わかったわかったと手を振る所長
「ジョーダンよ陽鳥ちゃん~。お?『お客様』のご来店だぜ、ディクス!」
机に置いていた足を床につく所長、『ディクス』
事務所の扉が開き、ドアベルが鳴る。それは仕事の始まりの合図でもある。
「ようこそ、パニッシュメントへ。」
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