流れ星、片付けて!

 しばらくすると、ゾラの周りに白く輝く星がたくさん現れた。


「せっかく星に手が届くんだ。どうして流れ星を落とさないんだい?」


「そんなことができるの?」


「星を掴んで放り投げるんだ」


 ゾラがためしに一番近くにあった星を思いっきり投げてみると、シャラララッと綺麗な音をたて、ほうき星が夜空を滑っていった。


「好きなだけ投げればいいさ」


「でも、片付けなきゃ。夜空が星で散らかっちゃうよ」


「別にいいよ。どうせまた他の誰かが散らかすんだ」


「だって、大好きな星がどこかに消えたら悲しむ人がいるかもしれない。ちゃんとあるべき場所に戻すべきだよ」


「人生はきりがないことばっかりなのさ」


「ダメだよ、片付けて!」


 すると、ジャスパーがぷくっと頬を膨らませた。


「なんだい、えらそうに。今、片付けようかと思ったのに」


 おや、なんだか今日の自分とそっくりだと、ゾラは噴き出しそうになった。


「じゃあ、なんて言えばよかったの?」


「ゾラはパパとママからどんな風に叱られたら素直になれるんだい?」


「ううん、わからないや」


「ははは、そうだろうな。きっと、パパもママもわかってないんだろうけどな」


 ジャスパーはまるでおじいさんのようにゆっくりうなずいていた。

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