(二)-17

 せっかくルーシーさんも行けって言ってくれたのに。そう思うと、私はまた頭にきて、「パパのバカ!」と大声を上げて席から立った。隣の席においてあったリュックを掴んで入口に向かい、ドアを勢いよく開けた。

 私が店から出ようとした瞬間、ルーシーさんが「ちょっと待って。三者面談はいつなの?」と聞いてきた。

 私は「来週の金曜日、午後四時から」とだけ言い残し、店を出てドアを閉めた。

 エレベーターは一階に降りていた。ボタンを押すとすぐに上に上がってきた。一分もしなかったと思う。でも長い時間に感じられた。背後のドアから、パパが追いかけるために出てくるのではないかと思った。いや、そうして欲しいと、少し期待した。でも、出てこなかった。


(続く)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る