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  •  『演じる』とは何か、と言われると、端的に換言するならば登場人物の着ぐるみをかぶって役者が演じることでありますが、そこには明確な着ぐるみの内側と外側があり、また同時に客席と舞台を分け隔てる『第四の壁』もあるのが一般的ですが、冒頭で男が語った寺山修司の話はそこに疑問を抱かせる内容であり、最終的にそれがこの舞台の上の登場人物とはつゆ知らずと言った二人の男が『内側』ではなく『外側』だったことの伏線へとなっており、そこまでの流れが完璧で思わず舌を巻きました。
     そして最終的に出てきた『機械仕掛けの神』が自らの役割を忠実に果たしているのを見ると、彼女もまた『外側』なのではないかという疑念を抱かせる深みを感じました。短編と言う中でこれだけの要素を詰め込み、整然とすべてがつながっていく描写には脱帽の限りです。

  • 導入の謎の状況から二人の男のやり取りが不穏で、胸がざわざわしました。
    そこから語られるアングラ演劇の話が非常に知識に溢れていて、凄く圧倒されました。
    でも、何より心を奪われたのは「客席に座るあなた」の存在が出てきてからが、怒涛の展開で凄かったです。
    最後の「」内文章が入れ替わったりぐちゃぐちゃになる様子には圧倒されました。
    演劇はよく分からないけど、それでも伝えたい事や熱量が伝わって来て凄く良い作品でした。