〈笑う星〉

渚鳥

1.名残

冷蔵庫のシュークリームが

パサパサになっている予感とか

時計を見なくても今が大体何時かというのに

気づいている眠り

それは当たる日もあれば外れる日もある

天気予報ほど罪は重くない


どうしてそんなに眠りたがるのか分からない

一体、どうしようと思うの?


私は本当は眠っちゃいないのだ

だから眠っているような自分に向かって

そんな事を毎日、毎日思い続けている

(本当に眠る日が来るまでそれは終わらないと思う)

(お粗末)


マグカップのコーヒーが芳ばしいとかちょっと酸いとか

飲む前から分かる予感

それは気まぐれに起こる好奇心の割りに

あまりハズレる事もない

もしかしたらこれは脳の隅っこに組み込まれた

遥か遥か昔の名残なのではなかろうか


コーヒーを飲み干す

桜吹雪を見るように

体内はざわめいて

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る