ぽーとまふぃあへ、ようこそ

続・中也と芥川くん

【さぁ。みなさんごいっしょに。声に出して読んでみましょう(笑)】

中也「ホッチキス」

芥川「…ホッチキス」

中也「ホキチス」

芥川「え？…ホッチキス」

中也「ホッキチス」

芥川「ホッキチ…いや。ホッ…え？」

中也「ホッキチス」

芥川「ホッキチ…えぇっ？？？」

紅葉「広津」

広津「はい。」

紅葉「（ぼそっ）…あの坊主どもは何をやっておるんじゃ？」

広津「（こそっ）おそらく、暇つぶしに幹部殿が芥川君で遊んでおられるのかと…」

紅葉「…中也、お主、暇なのかえ？」

中也「…姐さん。これは遊んでいるのではなく、言語認識能力の確認です」

紅葉「そのニヤついた顔で小難しい単語を言っても、言い訳にしか聞こえぬがのぉ？」

中也「要するに、横から違う言葉を言われても惑わされることなく、正しい言葉をきちんといいきることができるかどうか、試してるんですよ。いわば試練です」

芥川「ほ。…ほ、ほっち…き、す。」

中也「混乱すると、こんなふうに何が正解だったかわからなくなります。」

紅葉「…弁明を受けたようなのじゃが、結局遊んどるのじゃろ？」(ため息)

中也「姐さんもやってみます？」

紅葉「ホッチキスかえ？」

芥川「はい。ホッキチ…じゃないっ。ほっっっちきす！ですっ！」

樋口「先輩っ！がんばってくださいっ！」

紅葉「そこ…楽しそうじゃのぉ」

中也「姐さん。今日、暖かかったですね」

紅葉「ん？そうじゃのぉ。たしかにちょっと、暖かかった」

中也「あたたかかった」

紅葉「…？あたたかかった」

中也「あたかたかった？」

紅葉「アタカタカ…え？」

中也「アタカタカッタ」

紅葉「ん～。ちがうっ。あたたか……か…ん？」

中也「あたたかかった」

紅葉「あたた…か…。。。え？あってる？」

中也「はい。混乱しましたね。姐さんの負けです」

紅葉「負けってっ！…というより。…あれ？正解は…あ、た、…た。。。」

広津「楽しそうだな…」

芥川「広津さんもやってみてはいかがですか？…」

広津「いやいや、若者の戯れの邪魔をするつもりは…」

中也「じゃあ、広津はこれな？」

広津「はい？」

中也「色鉛筆」

広津「いえいえ。あの。…そういう戯れは本当に…」

紅葉「広津。わっちの仇を取れ。幹部命令じゃ」

広津「それを職権乱用と言うのでは…」

中也「ほら。言ってみろよ。色鉛筆」

広津「…い、…いろえんぴつ」

中也「うん。色鉛筆な？」

広津「はぁ」

中也（そっと耳打ちをする）

広津「えっ？！・・・いや、違います。いろえんぴつっ！」

中也（耳打ちを続ける）

広津「いやっ！そのっ。…え。じゃないっ！だからっ。いろいんぴ…じゃなくてっ！」

芥川「…幹部は広津さんになんて言っているのだろう？」

樋口「なんでしょうねぇ？でも、中也さん。お顔がすごく楽しそうですね、先輩」

紅葉「…たぶん、わかった」

芥川「ではなんと？」

紅葉「ん？…まぁもうちょっと見ておれ」

中也「だからな？色鉛筆」

広津「…い。…い、ろ、…。。。」

中也「何、顔真っ赤にしてんの？」(ニヤリ)

樋口「ほんとだ。なんか、蒸発しそうなぐらい顔が真っ赤ですよ？広津さん」

芥川「…聞かされた言葉に何かあるのか？」

紅葉「ふふ。おそらくのぉ」

樋口「なんて言ってたんですか？中也さんは」

紅葉「二人とも、口に出さずに頭で考えよ。色鉛筆の、『い』と『え』を入れ替えるのじゃ」

芥川「…あぁ」

樋口「い。と、え。を入れ替える？…えっと。…いろえんぴつ。…え…。…えぇっ？」

広津（両手を床につき、敗北の姿勢のまま）「め、面目次第もございません…」

―――

首領「ねぇ。君たち。…ほんとに、暇なんだね」

ポートマフィアは今日も平和です。