伝説の木

バブみ道日丿宮組

お題:失敗の木 制限時間:15分

伝説の木

 学校には伝説の木と呼ばれるものがある。

 なんでもその近くでやることすべてが失敗するという話。

 そんな木が学校のすぐ側にあるものだから、みんな試験で赤字をとっても、スポーツで怪我をしても、教師に怒られても、全て木のせいにする。

 仕方ないことだよね。私もそうしてる。

「玉砕姿はかっこよかったよ」

 友人がぽんぽんと肩を叩いてくる。

「振られちゃ意味ないけどね」

 そう……私はジンクスなんて関係なく、伝説の木の下で告白したんだ。学校でもトップ30ぐらいに入る女子生徒。そこそこな評価を持ってる。

 だからこそ、失敗なんかしないって思ってた。

 まぁ現実は『友だちでいましょう』という失敗で終わったんだ。

「彼女は誰に対しても友だちでいましょうっていうらしいし、落ち込むなよ」

「それって何か理由あるのかな?」

 友だちであり続けることは決して悪くない。気まずくなるよりマシだろう。だからこそ、疑問に思う。どうして添い遂げようとしないのか。

「理由か。両親が共働きで妹が小学生だとかは聞いたことあるね」

 それはあれだろうか、妹の世話で忙しいから付き合えないとか? 

 確かに誰かと付き合うとなれば、時間をとられることもある。

 だけど、自分のためにすることであって、妹のために動いたとしてもすべてが妹のためになるわけじゃない。

「あとはそうだな。学校の成績を上げたいとからか?」

「それ関係あるの? 人と付き合わないから成績が伸びるんなら今の世代の子どもは半分くらい秀才なんじゃないか」

「まぁそうだろうな。俺も頭いいはずだし」

 友だちが頭いい姿は浮かばない。いつも赤点で教師に怒られてるのをよく見てるからね。その代わりに部活でいい成績をとってる。告白も何度かされてるが……そういやこいつも断ってるな。

「気になってんだけど、どうしてお前も断ってんだ?」

「んー、どうだろうな。お前との時間が大事っていったらどうする?」

「さすがにないわぁ。付き合う以前の問題だ」

 友だちという認識変えることは私にはできそうにない。

「そっか。でも、少しくらい考えてくれてもいいんだぞ。あ、先生きたわ」

 友だちは自分の席に戻ってった。

「……」

 なんだろう……これは。

 告白されたようなものなのか?

 失敗した私にまた失敗を重ねようというのか。

 伝説の木を見ても、答えは返ってこない。

 なら、成功に向けて動いてみるのも悪くないかもしれない。

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伝説の木 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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