時計表示X
バブみ道日丿宮組
お題:混沌の時計 制限時間:15分
時計表示X
生命の時計が記されるようになってから、人間は挑戦するということをやめた。
「そのはずなのに部長は常に前向きですよね」
「そのはずがなんなのかはわからないけど、挑戦することをやめてしまったらそれは人間じゃないわ。ただの動物と言ってもいい」
人間もただの動物な気がするが……まぁいいや。
「失敗する挑戦をしたいって人が思うとは思えないですよ。痛いし、忘れられない出来事になる」
「そうね。何度も話してるけれど、あなたのいう考えのようなものが今の人々を動かしてるのだと思うの」
部長は慣れた手付きで自分の時計を胸から取り出す。
それはSFやファンタジーで見るような魔法に近い見た目。これがもっといい能力だったら、世界は中二病で溢れてただろうな。
「私の時計は常に下降してるの」
「下降するって時計の説明できかな……いえ、続けてください」
睨まれた。
「私はね。失敗も生命の1つだと思ってるの。だから、どれだけ時計が傷ついても続けてる」
「それは死んでしまうことに該当しててもですか?」
「そうね。死ぬから止めるというのは何も間違ってないわ。誰だって死ぬのは嫌でしょうし」
だったら、
「でも、あまりにも人が生き続けるのもよくないわ。当たり前の人生に事故、事件は起こらないとなにか不自然よ」
部長は真面目そうな顔で時計……砂時計のような形をしたものをくるくると回す。
「確かに長生きみんなしてますものね。手術の成功率が高い時計の時にすれば、必ずに近い成功がありますし、大会で良い記録がでないときはでないとかもできますからね」
もっともスポーツに限っていえば、それは逃避と同じだ。勝てないなら試合をしない。負けるとわかったものを誰がやりたいと思うだろうか。
「みんな忘れてしまったの」
わからなくもない。
でも、そうだとしても、僕はやはり失敗はなるべくしたくない。
部長が作った『やりたいことやると決める部』はそんな失敗はしたくないけど、なるべく成功はしてみたいという天の邪鬼が集まった部活だ。
部活といっても、2人だけしかいないけど。
みんな心に正直だよね。わかってるから文句はいえない。
「じゃぁ今日の部活を始めるわ」
そうして2人っきりのどうでもいいような挑戦が開始されるのであった。
時計表示X バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます