顔の変化
バブみ道日丿宮組
お題:いわゆる顔 制限時間:15分
顔の変化
組織に入れるのは、いわゆる顔が広い人。
顔っていうのは大事で僕は童顔だからか、毎度会議室に入るまでに職質を受ける。セキュリティ対策がきちんとされてるのはわかるのだけど、いい加減僕という人間を認識できるようにしてほしい。ちゃんとしたIDカードも持ってるんだからね。
「はぁ……」
広い会議室に1人ぽつんとお誕生日席に座る僕。
そう……こんな僕は組織の一番上の人なのだ。それなのに周りは僕を知らない。ご令嬢だとかっていう話もされたことがない。
非常に遺憾ではあるが、
「今日もお願いね」
『わかった』
僕の中のもう1人が返事をする。
「……ふぅ」
『無事入れ替われたね』
「そうね。あとは任せない。順調に組織を操ってみせるわ」
僕の身体が光に包まれたと思うと、別人が表れる。
もちろん、僕であって僕でない人だ。いわゆる身体の共有を僕らはしてる。こうなった原因は多々に及ぶから今は省略する。
それでもう1人である彼女は、出るところもきちんと出て身長も高い女性。僕という器にどうして彼女のような人がきたのかはわからない。
けれども、肉体の変化、声質の変化、DNAの変化。
そういったものが身に起きてるのは事実だ。
彼女が僕であるということを知ってるのは組織のごく一部で、僕という存在を知ってるのもごく一部だ。亡くなった父親の隠し子ということもあり、あまり情報が外に出ることはなかった。
「今日はあなたの通う学校を変化させるわ」
『そうなんだ。具体的には何をするの?』
「教育の無償化といったところかしら。いずれはこの国の全ての学校を無料化してみせるわ」
あへぇ。相変わらず凄いことを考えるものだ。
「あとあなたの恋が叶う手伝いをする」
『えっ、えっ……!? ど、どうして、そ、そんなことを知ってるのかな!?』
「私はあなたでもあるの。知らないことはない」
それはそうだけど……恥ずかしい。
「もう少し自信がもてる学風にしたいところね」
『学校に行ったことないのにわかるの?』
「そりゃあなたの心としていつも一緒にいるのだもの。表に出ていなくても通ってるようなものだわ」
『そっか』
そうだよね。
私もよくわからない組織の会議をいつも見てるんだから、その逆ができなきゃおかしいって話になるね。
「いつか2人でなにかできるようにするのが私の願い」
『うん、僕もそう思うよ』
彼女の力でいろんな研究施設が憑依という心に新しい人格が生まれることを調査してる。
いつかその研究で1人が2人になれば、僕はきっと幸せになれると思うんだ。
だって、お姉ちゃんみたいな私が側に表れるってことなんだから。
顔の変化 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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