彼女がいる日常

バブみ道日丿宮組

お題:冷静と情熱の間にあるのは解散 制限時間:15分

彼女がいる日常

 特に仲が良かったわけではないが、離れてみると心にあるのは寂しさだった。

「……」

 教室の中、グループ化された生徒たちはそれぞれがだべってる。

 僕はといえば、雲空を眺めるだけで参加しない。

 誰かに話しかけられれば応えることもあるが、その機会もほとんどなくなってきた。一時期は学校一番の女性から告白されたということもあって話題の人になったこともある。

 僕としては相手のことがよくわからなかったので友だちからということになって、世間は落ち着いた。

 それから少しずつ彼女といるようになった。そして迎えたのがクラス替えだ。別のクラスになってしまった彼女は昼と放課後にしか現れなくなった。

 彼女は絶えず「寂しいなぁ」と僕に願う。僕は大丈夫だからと毎回応えてたが、まさか自分自身が寂しくなるとは思いもしない。これはもしかすると恋なのかもしれない。彼女からしてみれば、願い叶ったりというところか。

 ただ……どういって告白を返せばいいのだろうか。

 彼女はいつも大好きと言ってくれる。僕は何も言ってない。なら、言うべきだろうか。

「……」

 気持ちが上がったり下がったりを繰り返してる。この気持ちが安定してくれれば、もしかしたらできるのだろうか。

「ーー彼女さんきてるよ」

「ん、ありがとう」

 声に振り返れば、彼女が廊下からこちらを見つめてた。

 そうか……もう放課後になってしまってたか。午後の授業がこれっぽっちも頭に残ってない。あるのは彼女の眩しい笑顔ぐらい。

「なにしてたの?」

 荷物をまとめてると、彼女が僕の机まで近づいてた。

「空を見つめて、これからどうしようか悩んでた」

「青春?」

 そうかなと笑うと、笑顔を返された。僕には過ぎた彼女に思える。僕はこれといって取り柄もないただの生徒。釣り合いが取れるとは思えない。

「今日はね、新しいお店にいこ」

 立ち上がった僕の腕を取る彼女。やんわりとした感触が腕からしてきた。相変わらず柔らかい胸だな。僕とは大違い。

「どうしたの?」

「なんでもない。なんでもないんだ」

 惹かれるがまま廊下へと出た僕は、一瞬だけ教室に目を向けるとそこには背景となったものがこちらを見つめてた。

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彼女がいる日常 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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