第9話 属性と系統

「さて、スキルについては既に大まかに説明しましたので、次に魔法に入りたいと思います。魔法については、どこに分類されるかはわかりますね?」


「はい、戦闘系ですね!」

 

 椅子に座るホムラへのエルメティアの質問に答える。基本の3分類の中では紛れもなくそこだろう。

 なんだか、本格的な授業を受けている気分になってきた。


「そうです、そしてその魔法についてもさらに区別することが出来ます。これを見てください」


 エルメティアが指から炎を出しながら、振ると目の前に文字が現れる。文字は燃えているため魔法なのだろうと思う。


「魔法を分類すると、5属性あります。文字に書いてある通りです」


 と言いながら空中の文字を指す。


 そこには、紅属性、蒼属性、緑属性、白属性、黒属性と書かれている。確か、生まれた時に鑑定士が自分のステータスを見て紅属性とか言っていた気がする。


「さらに、属性からの分類もあります。良く覚えるようにしましょうね!」


 空中の文字がさらに付け加えられた。


「あ、複雑になってきたなぁ」


 勉強がそこまで好きではないホムラとしては、覚える量が増えるのは好まないが、魔法であれば頑張りたいと思った。


「ホムラ君は、紅属性でしたね。そして、特に火系統に適性があると聞きました」


 確かにホムラもそのように聞いた。


「先生も同じ火系統ですね!お揃いだ」


 空中の炎の文字を指差しながらホムラが言う。同じ系統なら良く学べそうだ。


「ええ!ですが、紅属性はこれだけではありませんよ。見ててください」


 と言いながら、地面の草を一本千切った。


 何をするのだろうか?とホムラが見ていると、草が急に凍りついた。


「え!凍った……一体、どんな魔法を?」


「驚きましたか?紅属性の魔法ですよ。火系統とは別に、温度操作系統というものがあります。ものを熱くも冷たくも出来るのです」


 凍った草を再び燃やし、チリにしながらエルメティアが答える。この世界においては氷魔法という名称は存在しないようだ。

 もしかすると、自分も温度操作が出来るかもしれないとワクワクになる。


「驚きました……他の系統についても教えてください!」


「ええ、慌てなくても時間は沢山あります。じっくりと覚えていきますよ」



 まとめると、

 紅属性は、火系統と温度操作系統

 蒼属性は、水系統と回復系統

 緑属性は、風系統と成長系統

 白属性は、光系統と浄化系統

 闇属性は、妨害系統と空間系統


 となっているらしい。


 だが、稀にこれに該当しない例外的な魔法を使う者が現れるが、それも何百年単位のものであるため除外しているとのこと。


 多分、転生者とかだと思う。神様がなんかやってるのだろう。


「成長魔法について教えてください」


「ええ、成長系統とはその名の通り植物などの成長を促すものです。回復系統との違いについて、昔議論がありましたが、傷を治せないことで別物だと決着がつきました」


「では、傷つけた植物に成長系統を使うと……」


「ええ、腐る可能性もあります。良い成長があれば、悪い成長もあります。知っておいて損はない知識です」


 積極的に質問すると、エルメティアが答えてくれるためホムラは沢山聞いておく。元の世界の先生も気になることは沢山質問しろと言っていたし。


 魔法に関しては片っぱしから気になることを聞いていきたいと思う。話を聞いているだけでもとても楽しいものだ。





「大まかな魔法の知識も学んだことです。後は発動が出来る様に頑張りましょうね!」


 座学を終えて、実践に入る。魔力を操ることが出来る様にはなったが、まだ魔法の発動までは至っていない。


「あの、先生。やっぱり杖とかあった方が良いんですか?」


 エルメティアは杖を持っている。だが、杖なしで魔法を使うところも見るためいらないのだろうか?と思う。


「そうですね、魔物などと戦う時は杖は必要になるでしょうね。魔法発動体たる杖があるかないかでは威力に大きな差が現れます。ですが、まだ魔法が出せていない者はいきなり杖を使って暴発すると危険なので杖を使わないで練習を行います」


「暴発、怖いですね」


 どんな感じで吹き飛ぶんだろうか?このやり方があるということは、過去に誰か吹き飛んだのだろう。


「どんな吹き飛び方か、知りたいです?」


「いえ、お構いなく……」


 話したそうな顔をしないで欲しい。自分が転生者じゃなかったら、泣いてたかもしれない。



「魔法が発動出来たら、私が作った杖をプレゼントしますね!私の手作りですよ」


 と言いながら、エルメティアがホムラに杖を見せてくる。そういえば、何か作っているなと思っていたが、それだろう。


 杖が下手くそな出来というような期待の展開はなく、見事な杖だ。これは早く貰いたいものだと思う。


「頑張ります!」


 ご褒美を見せられた子供は強いぞ!と思いながらホムラは魔法を発動出来るようになるために頑張るのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る