第7話 スキルについての座学
「魔力を感知は出来ていますね。昨日の今日で素晴らしいですよ、ホムラ君!後はそれを自在に操れる様になれば魔法が使えますよ」
ホラムの現状の説明を受けながら、エルメティアが言う。
良く出来ました!と頭を撫でてくるので照れる。自分としては、優しい先生でありがたい。
「早く操れる様になりたいですよ。コツとかは無いですか?魔法使いじゃなくても魔力は操作できるって父様が言ってましたし、良い方法があるのかぁ?って思って」
コツがあるなら知りたい。早く魔法を使いたいという好奇心が勝つのだ。
「焦る気持ちもわかりますが、冷静さも魔法使いには必要です。前にも言いましたが、少しの揺らぎが魔法に大きな影響を与えますので」
どうやらお見通しの様だ。やはりコツコツとやっていくしかない。
「ふふ、あなたのお父様も魔力の操作にはとても苦労されてましたよ。国で随一の優秀な騎士でも教官に怒られながら頑張っていた時代があります」
「父様も、苦戦したんですか。なら難しいのは必然か……」
父様の実力は良くわかっている。この領地の兵士の訓練を行っている所を、まだ歩けない頃に母に抱かれて見に行ったことがあるが、何人相手にしても苦戦する様子はなかった。
圧倒的な実力だな……と驚いたものだ。そんな父でさえ、苦労した魔力の操作であれば自分が苦戦するのも必然だろうと思う。
「先生って、父様が若い頃を知ってるんですね!何さ……い……いえ、なんでもないです」
年齢を聞くのは、不味かったようだ。とてつもない般若が現れかけた瞬間に聞くのをやめる。今後も気をつけようと決める。
エルメティアが何やら作っている間に、ホムラは瞑想を行う。これが1番魔力を感じられるのだ。
心を落ち着けていると、周囲の音が良く聞こえてくる。感覚が敏感になっているような……何が起きても対処出来そうなほどの冷静さを自らに感じる。
「来ましたか」
エルメティアが呟くのが耳に入った。だが、それを気に留めることもなく集中していると、確かに暖かいものを感じた。
水が渦巻くような感覚を腹部に感じ、ドキッとするが気を緩めないようにして感覚を逃さないようにする。
動かそうとすると、少しずつ魔力が散らばるがほんの少しの量を動かすことが出来た。持ってきたのは指先だ。
「もしかして!ファイヤ」
指鉄砲の構えをとり、魔法を使うイメージを持ちながら唱えてみる。だが、結果としては指からは何の魔法も出なかった。
「凄いですね、ホムラくん。もう魔力を操れるようになりましたか!ですが、まだ操る量が少ないですね。操れる量を増やしつつ、魔法の発動に入りましょう!」
いきなり魔法を使えなかったのは残念だが、大きな前進だ。もう魔法は目の前と言っても良いのかもしれない。
「楽しみです」
「頑張りましょう。それと、ここからは魔法の知識についても詳しく学んでいく必要がありますので多少の座学を入れていきます」
何やら勉強もあるようだ。難しくなければ嬉しいのだが……
「それでは、本を読みますのでこちらに」
と言うと、エルメティアが膝をトントンと叩いている。そこに座れと言うことだろうか。
「じゃあ、失礼して。ありがたやぁ……」
神に感謝を捧げながらエルメティアの膝に腰掛ける。言葉に表せない素敵な感触だ。子供の身体でよかったと思う。
ウキウキとしていると、目の前で本が開かれる。
内容としては、魔法の系統……さらにその前。スキルに関しての記述からだ。
スキルは大まかに3つに分けることができ、戦闘系、技術系、生活系となっている。
戦闘系には、魔法や剣術。
技術系には、鍛治師や建築。
生活系には、料理や裁縫など。
あくまで一例ではあるが、このように分類されている。
「先生、鑑定士の人達はどの分類に入るんですか?」
ホムラが生まれたばかりの頃に、スキルを鑑定したものがいた。あれも戦闘系に入るのだろうか?と考えた。
「鑑定ですか、良い質問です。さて、ホムラくんはどう思いますか?1、戦闘系・2、技術系・3、生活系。どうでしょうか?」
かなりの有用スキルではあるが、鑑定だけでは戦闘に役立つとは思えない。他に戦闘系のスキルがあるなら別だが。答えに遊び心を持つのも良いかもしれない。
「答えは4、3つ以外の別の系統だと思います」
答えた直後に、髪の毛をクシャクシャに撫でられる。
「凄いです!ホムラくん、よく知っていましたね」
当たりだった様だ。
「今、予想して答えましたが、当たるとは思いませんでした!」
「それは素晴らしいです。ここまで考える5歳の子はいませんよ!」
まあ、精神年齢は20を超えてますからね。と思いながらも予想が当たったことさ嬉しい。
「特殊系のスキルに、鑑定は入ります。時々、珍しいスキルが発見されてるんですよね。アイテムボックスとか」
「アイテムボックスですか」
持ってるんだよな……と考える。ミルレイヌ神から偽装して貰っているが、目立つ使い方は控えたほうが良いのだろう。
エルメティアと話していると、父が足早にこちらに向かってきている。
「森でワイバーンの死体が見つかってな!こっちに運んで来てるんだが、ホムラも見るか?」
「え!見てみたい」
魔物である。まだこちらの世界では拝めていないので興味をそそられる。
「死体で見つかったのですか?」
「ああ、一撃で頭を貫かれていたらしい」
それは不思議ですね。とエルメティアが考え込む。
「早く行こーよ!」
魔物が見たいホムラが2人を急かし向かうのだった。
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