クラス一番の陰キャが俺の推しだった。

廣上晴

委員会

「みんなの顔が見れて本当に幸せ!また来てくれたら嬉しいな!」

「最高!!」「可愛すぎる!!」などファンそれぞれの感想を叫ぶ。

ライブが終わり、そのライブの名残を感じながら俺は帰った。




アラームが朝を伝える。

もう少しだけ寝よう。

あと五分でいい。

なんだ?なんか聞こえるな。

「隼人起きなさい!入学初日から遅刻するなんて笑えないわよ!」

カーテンを開けながら大きな声で母がそう言った。

うるさいなと思ってしまった。

「わかってるよ。もう起きる。」

言い方が少しキツくなってしまった。

「朝はいつも機嫌が悪いわねー。」

無視して一回に降りた。

 俺は中学の頃の友達がいない、通学に一時間くらいかかる高校へ入学した。

担任の先生や親に「なんでそこへ行くの?」と何回聞かれたかわからない。

学力があっている。などという適当な理由を言っていたが正直に言うとバイトができて俺のオタクを隠せる高校が良かったからだ。

その条件を満たすのが同じ中学から誰も来ない前岸高校だ。

オタクというのはアニオタとは少し違うと思う。

もちろん最初はアニメだった。

しかし、だんだんとそのアニメを作っている声優という人々に興味を持つようになった。

そして、今の俺のオタク生活を本格化させたのが「スターガールズ」というアイドルアニメだ。

スターガールズはストーリー、作画、OPなどが世間に評価され、大ブレイクした。

そして、その声優を務めた五人は今では「スターガールズ」というアイドルとして活動している。

活動一周年ライブでは三千人の席も埋めれなかったらしいが今では三万の席でも埋めれる人気ぶりだ。

そんなスターガールズの虜に俺はなった。

その中での俺の推しは年齢が同じの桜くるみちゃんだ。

理由は同じ年齢だけではない。

高校一年とは思えない圧倒的美貌や透き通った声。

そしてなんと言ってもあの完璧スタイルだ。

モデルといってもおかしくないスタイルをしている。

まぁとにかく最高なのだ。

年齢を聞いて驚いた人もいると思うがそう。

スターガールズは年齢が低めだ。

最年長でも18歳。

それが人気の理由にも入ると思う。




「おはようー」「おはよう!」

俺にはもちろんそんな言葉を交わす人などいない。

でもいい。

俺はこれを望んでいた。

俺のことを誰も知らずにオタク全開でオタクという認知をしてもらえばそれでいい。

そんなことを考えていると担任の先生がやって来てHRが始まった。

「早速だが委員会を決めようと思う。」

余ったのをやればいい。

そう思った。

最終的に余ったのが放送委員。

もう一人の人は髪の毛のせいでよく顔がわからない女子だった。

めんどくさいな。

そう思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る