三姉妹登場? 二度あることは三度ある
俺と奏太は二人に捕まり今アジトに向かっている最中だ。でも、俺が言うのもアレなんだけど希望が無くなるのちょっと早すぎませか? あんだけ期待させといて抗ウイルス薬が木っ端微塵に砕け散ったんだよ。しかも、悠音と詩はどっか行っちゃうし……。
「俺のバカバカ……。なんであんなに沢山持って来て、言われたままに手を上げちゃったんだろう? 今すぐ時を戻したいッス」
「この長い廊下を歩いてるとさぁー、まるで地獄に投獄される囚人の気分だ……。ハァー、溜め息しか出ない」
「ちょっとあんた達、辛気臭い雰囲気出さないでよね」
この気が強くて態度がデカい女の子は確かアリアとか呼ばれてたな。しかも、俺に関節技をかけた奴でもあるけど……。
髪の色はアッシュグレーってヤツなのか、その髪を二つに結んであって、瞳はエメラルドグリーンなのか。年齢は俺と同じか? いや、奏太と同じくらいかもな!
「アリア、騒がしいぞ」
「だってお姉、此奴らが辛気臭いだもん!」
今注意したお姉と呼ばれてるこの綺麗な女性はベージュショートの髪がよく似合ってる! 青い瞳に見つめられたら絶対に目が背けられないよ。歳は俺達より上な気がする。でも、この人最初に俺に銃を向けてきた人でもあるんだよね。
それに、お姉って呼ぶくらいだからこのアリアって子と姉妹なのか? あんまり似てる所ないし、やっぱり姉妹って感じじゃなさそうだな……。
「着いたぞ!」
「ここが地獄への入口か……。どっからどう見ても普通の扉だ」
「俺、とうとう処刑されるんッスね……」
「ここはアジトなの! お姉とそのまたお姉とわたしとその仲間達のなんだから、縁起悪い事言わないでよね」
俺達は廊下の一番端の何の変哲もない扉の前で止まっている。扉には物置部屋と書かれていた。廊下に物が溢れかえっているのは多分、この人達がアジトにする時に邪魔になったからきっと出したんだろうな。
それにしても、なんでアジトの前に来たのにこの人達はなかなか中にに入ろうとしないんだ?
「よし、言うからな」
「お姉ガンバレ!」
「布団が吹っ飛んだーーーー!」
えぇ!? ちょっと、あの綺麗なお姉あって人が顔に似合わずダジャレを叫んでるってどういう事なの?! 何が起こるって言うんだ! 俺はわくわくしながら待っていたが、数分立っても何も起きる気配すら無かった。
「お姉失敗だね」
「前から思ってたんだが、このダジャレを言う開閉システム何とかならないのか……」
「もう、お姉恥ずかしがり屋さんなんだから。ここはわたしに任せて!」
えっ?! 問題はそこなのかよ!
お姉って人は今切実に胸の内の秘めた思いを話たのに、このアリアって子はちょっと人様の扱いが雑すぎませんか? 俺でもしないよ。もうちょっと、あのアリアって子より丁寧にツッコミする自信があるよ。
「行くよ! 隣の客はよく柿食う客だ」
アリアがなんの恥じらいもなく大声でダジャレを叫んだ瞬間、ガチャっと音と共に扉にかかっていた施錠が解かれ開いた。
「フフフ……! お姉見てた? 凄いでしょ」
あんな満面な笑みでお姉って人に駆け寄って、いつもああなら可愛いのにな。けど、この子はあんな大声でダジャレを言ってて恥ずかしくないんだろか? 俺だったら間違いなく恥ずかしくて死んじゃうなっ!
「アリアは凄い凄い」
「えへへー!」
「中に入れるぞ」
俺達はというアジトの中に入ってしまった。アジトという割りには部屋はすっからかんで何も無く、あるのは積み重ねられた数個のダンボールくらいだ。部屋の広さはまぁー、広いと言えば広いのかな。
あれ? よく見知った顔があるのは気のせいだろう……。ん? って、いなくなったはずの悠音と詩がなんでここにいるんだよ。しかも、見知らぬ人子供達と楽しそうに会話してるし……。
「律に奏太、遅かったじゃないか?」
「なんで、悠音が知らない他人の家で一番馴染んでるんだよ?!」
「言われて見れば確かに……。」
頼むから言われないでもわかってくれよ。だけど、二人がいきなり消えてびっくりしたけど、悠音も詩も元気そうでいてくれて良かった!
「あの時、僕と詩は何者かに音を立てずに攫われ危うく人体実験をされそうになりもうダメだと思った。いよいよ僕の両手の封印を解こうとしたその時、僕はテレパシーで仲間を感じ取った。その仲間に僕は敵じゃないと説明し見事和解した。その少年がこの子だ」
「まるっきりちっちゃい悠音じゃんか!」
「そう彼こそ僕の同朋の
「そこは伝えなくて良かったのに……」
「何故なんだ律! 僕達は親友じゃないか? ハッ、そうか……伝えずともわかっているそういう事なんだな。僕とした事がとんだ勘違いを」
「一生勘違いしてて下さい……。
それより、詩も無事で良かったよ」
「はぁ~、こんな小さな子にまで中二病が蔓延してたなんてイヤになっちゃう。そう思わない律君?」
「そうだね」
きっと、俺がいない間に色々とあったんだな。何が起こったか大体は想像がつくよ。中二病全開の奴にもう一人少年が加わるなんて……それは破壊しか生まれないよな。とりあえず、ここはそっとしておこう!
「ちょっと、あんた達! 忘れてるようだけど、ここはわたし達のアジトなんだから好き勝手に話しないでよね! お姉からもほら言って」
「単刀直入にお前達に言う、私達はそこにゾンビがいたからとりあえず生体を知るため攫ってきたのだが、孤児院の子供達がゾンビに懐いてしまった! どうしてくれるんだ?」
「いや、そんな事俺に言われても……。第一勝手に連れ去ったのはそっちだしな」
「そうだよミサ姉! 私達が勝手に連れて来ちゃったんだから、ごめんなさいしよう」
やっと、まともな会話が出来そうな人に出会えた気がする。けど、この優しそうな髪の長い茶髪の女の子は、一体いつからここに居たんだろうか?
「ベル姉、いつからそこにいたの?」
「最初からずーっとこの部屋に居ました。どうせ、私はアリアちゃんやミサ姉に比べて影が薄いですよ」
「ベル姉ごめんね! 途中でカレー見つけてきたからコレ食べて元気だして」
「要りません。アリアちゃんまた拾い食いして、もう!」
えっ?! その拾ってきたカレーってまさか俺達が作ったカレーじゃないよね……。
「ベル姉は心配しすぎたよ。ゾンビが皆、美味しそうに幸せそうに食べてたから大丈夫だよ! それにさっき一口食べたし……」
「アリアちゃん、ちょっと大丈夫なの?!」
アリアはカレーの皿を手に持ったまま倒れてしまった。
やっぱり、俺達の作ったカレーだったぁぁぁぁ!! そう、何を隠そう俺達は
俺達はなんて罪深い食べ物を本当に作ってしまったんだ!
俺は罪悪感からか倒れたアリアの様子が気になり顔を覗き込んだらいきなり目が開き、手にしていたカレーをちゃんと床に置いてから血相を変えて水を求め始めた。
「水……水………」
俺や他の人達はただ見ている事しか出来なかった。なぜなら、アリアが水を求めてさまよっている姿はさながらゾンビその者で誰も近寄れなかったからだ。
「お水あった!」
「アリアちゃん、ちょっとその水は違うの、待って……」
アリアが水と思って飲んだ物はかなり毒々しい色を放つ水だった。本当にアノ水を飲んでも大丈夫なんだろうか?
アリアは全部飲み干してから案の定また倒れた。言わんこっちゃない!
「あのアリアって子、何飲んだらこんな仏様の様な顔が出来るんですか?」
「それが…………」
この長い間は一体なんなんだよ?
嫌な予感しかしないじゃんか! まさか飲み物じゃなく、やっぱりカレーが原因なのか? だとすると俺はまたカレー事件の被害者を新たに生み出してしまったのか……。頼むからカレーじゃないと言ってくれぇぇぇぇ?!
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