第2話 選択
剣技:20p。剣を扱う適正。身体能力と技量に補正。
火属性:20p。火属性の魔法を扱う適正……
こんな感じで書かれているのだろうと妄想してみる。軽い現実逃避だ。なんせ、どうにかポイントの部分が判別出来るだけで、内容に関しては全く解読不能であるのだ。
ポイントは上の枠外に100pとあって、何かを選択すると、その分減っていく。つまりそういう事なのだろう。
項目は必要ポイント順にならんでおり、大きな枠で2つに別れている。
どうしてこうなった……
一番のお楽しみタイムじゃないのか。
ここで俺の考えた最強の能力を手に入れて、異世界で無双するんじゃないのかよ。
しくしくと泣きながら再度モニターに突っ伏す。
しかし、のんびりともしていられない。
モニターの右上を見てみるとピコピコと一定の間隔で表示が変わっている部分がある。
これ、カウントだよなあ……文字化けしてて、さらに時間制限ありて、どんなクソ仕様だよ!!
怒りに燃えながらモニターに向き合う。
カウントの桁数が減った気がする。時間はあまりないのかも知れない。
取り敢えず大きな枠の上段へ視線を向ける。
デフォルトで0pの項目が選択してあり、下に行くと10〜100pと増えていく。また、デフォルトから上にも選択があって、こちらは赤文字でマイナスpの項目になっており、試しに選択してみると枠外の手持ちのポイントが増えた。
何となくこっちは種族の選択の様な気がする……
下段の項目と違ってデフォルトで選択されていることから予想する。となると下手に選べない。
マイナスってなんだよ、高確率で人外じゃねえか。
僅かな時間悩んだすえ、デフォルトのままでいくことにする。
エルフとか吸血鬼とか絶対あっただろ!!
「くそ……次、だな」
続けて下段の項目に取り掛かる。
こっちは正直お手上げである。
ポイントの付いた項目がずらりと並ぶ。それもかなりの数。
スキルか、ステータス補正か、アイテムとかも入ってるかもしれない。うん分からん。
とりあえずは、必要ポイントの小さなものを沢山取るか、数は絞って大きいものを取るか…。あとはもう運に賭けるしかない。
無意味に項目を行ったり来たりしていると、突然カウントと思っている部分が点滅し出した。
「まずい……」
なんせまだ何も決まってないのだ。
このままだとどうなるんだ??無能??
焦りが焦りを誘う。
頭が真っ白になった俺は、何故か10年ほど前の、小学生の頃のことを思い出していた。
あの頃から大した努力をせず、しかし何でもすんなりと人並みに出来る様になった。周りからは才能があるなんて言われた。だけとそれは最初だけで、いつもトップになるのは他の誰かだった。しょうがない、そうやって納得したフリをし続けた。でも、本当は1番になりたかった。1つだけでもいい、誰にも負けない何かが欲しかった……
ふと、我に帰る。いよいよカウントもあと僅かだ。
俺は意を決して、モニターを操作し……そして選択した。
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