『火の島』 下の中の中

やましん(テンパー)

『火の島』 下の中の中

 『うわ~~~~~~~~~!!』


 『あ、おちたあ!』


 みためくまさんが叫びました。


 落ちたのは、ぼくです。


 しかし、この、パワースーツは、すごい。


 すぐに、岩肌に背中が、がっしりとくっついて、落下が止まりました。


 『ああ、びっくりした。何で落ちたんだろう。』

 

 『さああて。どうやら、この火山、ただものではないにゃんこ。』


 『ただものでない火山って。なに? ママ?』


 『悪魔の山にゃん。』


 『もう、ママ、冷やかさないでくださいよ。心臓バクバクなんですから。』


 とは言ったものの、内心おだやかではなかったのです。


 だって、急に、くっつかなくなったのは明らかでしたから。


 磁石で鉄の山にくっついていたのに、突然、プラスチックの山に変身したようなものです。


 みためくまさんが言いました。


 『伝説では、この山は、大昔に、異星人がやってきて、一夜のうちに築き上げたお城なんだという、話になってます。山の途中には、いくつかの障害があって、なかなか、くまには登れないのだと。』


 『異星人ねぇ。宇宙ごきではなくてかい?』


 『そうです。その連中は、われわれをチリから創造したとされます。』


 『じゃあ、神様じゃないか。』


 『カミサマというのは、何だろう。『偉いくま』ですか?』


 『ああ・・・・まあ、そうだね。』


 『なるほど。そういう解釈もあるか。』


 みためくまさんは、ぼくが思う以上に、深刻に考えたようでした。


 『まあ、いまは、頂上に急ごう。』


 そのとき、ねこママの首から下がっている鈴のような物が『にゃんにゃんにゃんにゃん。』と、はでに鳴きました。


 『はい。こちら、ママ。どうぞ。・・・ふんふん。そうにゃんか。・・・・・・なんとか頑張りますにゃ。』


 『なんだい? 通信機?』


 『そうにゃ。宇宙ゴキに盗聴される可能性があるので、あまり使いたくないけど、一応、デジタル秘話通信になってるにゃ。地球ゴキの軍曹からにゃん。目下、クマ族と宇宙ゴキの守備隊が、激しい殴り合いになってるにゃん。』


 『なぐりあい?』


 『うんにゃ。なんか、たくらんでるみたいにゃ。本体が本部から撤退してるらしい。』


 『それは、自爆する気では?』


 みためくまさんです。


 『ふうん、ありうるにゃ・・・・・ん~~。にゃん。まあ、もうすぐ頂上にゃん。やるべきことをやるにゃんこ。』


 そのとき、頭の上から、沢山の大きな岩が降って来たではありませんか!


 『こ、これは、攻撃にゃんこ。この岩。パワース-ツの吸着力を吸い取るにゃん。気を付けてにゃ。』


 『どうやって。』


 『当たらなければ。よいにゃん。岩陰にかくれにゃんこ。』


 ぼくらは、ひときわ、でっぱった岩の影に、二手に分かれて隠れました。


 そっと、岩陰から上の方を覗くと、なにやら巨大な生きものらしきが、ちらちらと、頂上付近に見え隠れしております。


 『なんだ、あの生き物は?』


 『おわ~~~~~。あ、あ、ああれこそ、伝説の宇宙人!』


 ぼくと、ペアで隠れた、みためくまさんが叫びました。


 『はあ~~~~?』


 岩石攻撃は、まさに、止まることを知らなかったのです。



    ********************




 


 

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『火の島』 下の中の中 やましん(テンパー) @yamashin-2

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