ミュルクヴィズと7人の子ども

未曾有

0.

誰が言い出したのか、僕たちはその夜、廃墟へ行く事になった。


「うわあ、ほんとにあったんだ」


 誰も寄り付かないような山奥の、山頂へ向かう道の途中で突如現れる大きな廃洋館は、僕たちにとっては子どもの頃から噂の『幽霊屋敷』だった。


 ほんとうに幽霊を見ただとか、ここで誰かが自殺しただとか、お決まりのいわくはつきものだが、どれも所詮は”うわさ話”で誰も信じてなんていなかった。その上簡単に辿り着くことが出来ない場所だということもあり、いつの間にか話題にもならなくなった。


 そんな場所へ、あまりにも暇を持て余した僕たちがちょっとした刺激を求めてやってきたのだった。

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