ダークリップの口付け後に
Healios
ショートカット版
1話、2話《ショートカット版》
そこは町外れの貧民街。行き交う人は安く女を買う男か炉端で踞った死体くらいだ。
中には路上でおっぱじめる奴もいて、ananとどこかのティーン雑誌のような声で昼夜問わず騒ぎたてる奴もいる。とんだ近所迷惑だ。
そんなモラルも欠片も存在しない街に俺は放り出された訳だが、それが皆目検討もつかない目下の悩みだったりもする。
まぁつまるところお腹がすいて力が出ないわけだ。
「早い所死んで楽になりたい」
そう俺は未来に絶望した若者の叫びを吐露する。しかし人間は以外と頑丈にできてるらしく二三日飲まず食わずでも何とか生きていけるらしい。
いや、実際なにかを食った覚えはあるが出来るだけ思い出したくない、というか早くあの味も感触も忘れたい。
そう、あれはその二三日前よりも少し前の時の話だ。
休日の高校生である俺はコンビニ前でいつも通り友人とバカ騒ぎした後、海でナンパを楽しんだ。
その海で思いの外
皆目一番見聞きしたのは炉端で死体に群がるハエのブンブンとした音と古びた木製の建物から聞こえてくる女の喘ぎ声だった。
それはあまりにもリアルで一瞬自分の頬をつねった記憶がある。
それから1日中、歩き回っても居場所は分からず、項垂れた。
服は夏の日射しに蒸れた汗でべっとりと臭いが染み込み、洗ってない素肌も臭いがプンプン。もう嫌だと座った地面の横に見つけた空腹を和らげる物。それは酔っぱらいの残り粕だったが、何を思ったか俺はそれを口に含み飲み干した。
「うえぇぇぇぇ」
直後に襲ってくる吐き気に気がつけば、腹に残っていた残留物も何もかも吐き出していた。
そして今に至る。
「ああ、死にたい」
そうは言っても人は中々死ねないもので、どうしたものかと俺は星空を見上げた。
それが3日前の話だったか、それから俺は働き先を探しては玉砕してを繰り返して、ついに動けなくなった体はひたすらに死を待つだけとなってしまった。
「ああ、早いところ死んで楽になりたい」
そう俺は未来に絶望した若者の叫びを繰り返して吐露した。
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