第45話 Bランクになって周りの態度に変化が

 祐樹と理沙はBランクに上がった唯一の高校生パーティーということで学校でも話題になっていた。ことの発端は冒険者カードを財布のカード入れの中に隠して誰にも見せないようにしていたのだが、うっかりカードを落としてクラスメイトに見られてしまった。それに伴い今まで話したこともない人たちが話しかけてくるようになったのだ。


「如月はさ。Bランクになったんだろ? 俺も如月のパーティーに入れてくれよ。頼む!」

 祐樹のパーティーに入りたいとお願いしてきたのだ。祐樹を囲んでいた人たちもズルいということになり俺も私もと言い出した。


「小野なんかより。私を入れてよ。如月君も男の子だしあっちの方でも役に立つから。ねぇ、お願い~」

 クラス一番のギャルな女の子である辻さんが祐樹の腕に抱き着いて大きな胸を当てて上目遣いでお願いしてきた。それもエ○チなことも込みで誘惑しようとする。


「ちょっ、お前ふざけんなよ。このヤリ○ンが!」「そうだそうだ。ズルいぞ!」

 女の武器を使う卑怯な手に男子たちが文句を言う。


「はぁー!?ふざけんなしー!。うちは如月君と話してるの。男子は話しかけんな!如月君ごめんね。馬鹿な男子たちが五月蠅いよね?」

 辻は彼女かのように振舞い他の男子と女子をけん制すると同時にマウントを取ろうとする。一方で祐樹は金目当て、力を目当てに媚びへつらう奴らに嫌気がさしていた。少しでも恩恵にあやかろうとみんな必死だった。


「辻さんの言う通り五月蠅いんだよね」


「そうだよね。ほらあっち行った行った」

 辻さんは祐樹を落としたと思い嬉しそうにしっしっと手でみんなを祓う。


「辻さんも五月蠅いからあっちに行ってくれるかな?辻さんもそうだけど他の人を俺たちのパーティーに入れるつもりはないんだ。俺たちが潜っている階層はレベルが50を超える魔物がうじゃうじゃいる危ない階層なんだ。そんな場所にレベルが低い君たちを連れて入るなんて足手纏いでしかない。俺が守ってくれると思っているなら大間違いだ。自分の身は自分で守れるぐらいじゃないと仲間に加えないから」

 ダンジョンを甘く見ているクラスメイトにハッキリ邪魔だと伝えると。正論を言われたクラスメイト達は肩をガクッと落として席に戻っていった。


 自分の方は片付いたので理沙の方を見ると沢山の男子に囲まれていた。中には他クラスの男子もいた。理沙は美人であることから下心むき出しの男子に絡まれている。


「吉田さん、如月なんかより俺と組まない?俺、5歳から空手やってるから結構強いんだよ」

 クラスカーストが高そうな。陽キャが自信満々に理沙にアピールしている。


「俺は、ボクシング。ほら見て見て」

 拳をシュッシュッと拳の出る速さをアピールする男子など各々が自分の凄さ自慢大会みたいになっていた。

 理沙は下心むき出しの男子に呆れていると同時に冷めた目で見ていた。

『はぁ……、ホント馬鹿な人ばっかりね。祐樹を馬鹿にしているけどあなた達みたいな人と比べるなんて烏滸がましいぐらい差が開いているのよ』

 理沙がこんな風に思っているとは誰一人思ってなかったため、自慢大会を続けて揉めていた。


「理沙さんは俺とパーティーを組むんだ!お前はどっか行けよ!」


「名前で呼んで馴れ馴れしいぞ。吉田さんは俺と組むんだ!」

 男子同士で取っ組み合いのけんかが始まった。理沙は一言も発することなく無視を決め込んでいるのだが勝手に話が進んでいることに腹が立つ。


「私は貴方たちの様な方と組む気はないの。私の前に二度と現れないで欲しいのだけど早く自分の席に戻ってくれる?」

 理沙の威圧に怯えた男子たちは顔を真っ青にして逃げるように去っていった。


『理沙も大変そうだな……』

 祐樹は理沙に申し訳ないなっと思ったが、今回2人が誰とも組む気が無いということが分かったクラスメイトは二度と声をかけてくることは無くなった。


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