第31話 とあるテレビ番組で

 ある平日の夜テレビではある特番が放送されていた。

 どうやら江戸時代以前に建設され現在も当時のままの姿を残している天守を持つ12の城やそのほかのお城もダンジョンとなってしまったらしい。


『姫路城、松江城、犬山城、松本城、小田原城、熊本城、二条城、大阪城、高知城、備中松山城、弘前城がダンジョン化しました。この事態に対して専門家は貴重な歴史遺産が失われる危険があるとしてダンジョンコアの破壊を政府に求めていますが、政府はダンジョンは不壊であるため早急に対応する必要はないと言っています。現場と中継がつながっています。現場の中山アナウンサー』


 スタジオから姫路城三の丸という開けた場所に男性アナウンサーが立っていた。

『はい、私は今「白鷺城」の愛称で親しまれ、世界遺産に登録されている「姫路城」に来ています。現在の姫路城には観光客ではなく冒険者で溢れ返っています』

 少し前までならカメラを片手に観光をする家族連れや外国人で溢れ返っていたお城周辺は武器と鎧で身を固めた人たちへと客層が変化していた。


「へぇ~少し前までは観光地だったに今はこんなに様変わりしているんだ」

 余りの変わりように祐樹も驚いた。


『私たちはこれから城内に入ってみたいと思います』

 リポーターの人はマイクから剣に持ち替えてダンジョン化してしまった本丸の中に入っていた。


「情報によりますと外見は以前と変わりませんが廊下や部屋が大きくなり30階は優に超える大きいダンジョンへと変貌を遂げたみたいです。お城型に登場する魔物は着物や甲冑を着ており、槍や刀などで襲い掛かってきます。あっ、ちょうどいました」


 アナウンサーの視線の先には小さな刀を持った足軽ゴブリンがいた。普通のダンジョンで見るゴブリンよりも見栄えが良かった。


 ゴブ、ゴブ

 ゴブリンは鞘から小さな刀を抜きアナウンサーへと襲い掛かった。


『ここは私に任せてください』

 アナウンサーも剣を抜きゴブリンと刃を交える。だが、所詮はゴブリン力で押し負けざっくりと斬られ消滅してしまった。


『無事倒すことが出来ました。ドロップアイテムはゴブリンの耳でした』


 その後も襲い掛かって来る魔物を倒しながら奥へと進み。宝箱を見つけた。


『私たちは幸運かもしれません。なんと宝箱です』

 映し出された宝箱はRPGで見るような箱ではなく桐の箱に入っていた。


『中身は足軽のゴブリン小刀です。これはゴブリン種の魔物に対するダメージが微上昇する効果があります』


『現場からは以上です』

 ここで中継が終わりスタジオでダンジョンの対応について専門家と議論が行われていたが祐樹の心はお城に行ってみたいと思うようになった。


「武士姿をした魔物ね。是非仲間にしてみたいな。やっぱり武士なだけあって普通の奴より強いのかな?取り敢えず、理沙に聞いてみよ」


 祐樹はスマホで理沙にチャットを送る。


『次に行くダンジョンなんだけど小田原城に行ってみない?』

 どうやら小田原城は再建され博物館のようになっていたが姫路城と同じようになったらしいのだ。


『小田原城?』


『テレビでやってたんだけどお城もダンジョン化したみたいで普通とは違う魔物が現れるみたい』


「そうなの。それは一度見てみたいわね」

 ラノベ好きの理沙も興味を持ったみたいなので次の目的地は小田原城に決まった。


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