第30話 大国の思惑

 米大統領side

 アメリカのジョン・コールマン大統領は日本のダンジョンに眠る未知の資源をなんとしても大量に入手したいと考えていた。


「菅原総理、私たちは日本を未知なる脅威から守るために手を取り合おうと言っているんです。そして、ダンジョンで得た資源の50%で分けようと言っているんです」


『我々としましてもジョーカー大統領のお力をお借りしたいと思っています。ですが、ダンジョンの攻略には命の危険が伴うため迷惑はかけれません。それに、現状は対処できていますので、もし何かあればこちらからお願いします』


 といった感じで毎回のらりくらりと躱される。大統領は首席補佐官のケネス・ロジャースと次席補佐官キャロル・ニコルスに今日もダメだったことを伝える。


「またしても駄目だった……。アメリカにもダンジョンが見つかればこんなことをして済むのに。ケネス、捜索の方はどうなっている?」


「陸軍、空軍を動かして地上と上空から探していますが今だ発見に至っておりません」


「そうか、引き続き捜索を続けるように伝えてくれ。それで、キャロル魔石と新たな鉱石ミスリルについて何か報告はあがっているか?」


「日本の報告通りF級と言われる力の弱い魔石ですがおもちゃ程度の物ならなら動かせるエネルギーがありました。さらに強いモンスターの魔石であれば秘めている力も多く航空機ぐらいなら動かせるのではないかということです。ミスリルは現在の科学技術では加工することは不可能だそうです。ですが、鍛冶というスキルを持っている人だけが加工することができると諜報員から報告がありました」


「石油が残り50年で枯渇すると言われ、次なるエネルギーを模索してきたが日本だけでしか産出されないとなると世界中に供給となると厳しいだろうな。これは何としても他国より先に輸出に関して条約を結ばなければ。それと並行して日本の鍛冶職人を好待遇でアメリカに迎え入れる方向で交渉を進めてくれ」


「「はい」」


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 ロシア連邦side

 マラート・バザロフ大統領もアメリカ大統領と同じく日本にダンジョンについて交渉を行っていた。


「ダンジョンのある土地を買い取ることは出来ないのでしょうか?」


『申し訳ないですが。ダンジョンは日本政府が管理することになっているのでお売りすることは不可能です』


 マラート大統領は自国の好き勝手にできるダンジョンを手に入れたかったが実現できずにいた。


「このままでは、アメリカに先を越されてしまう。これからの時代魔石が主流のエネルギー社会となるだろう。そうすればロシアは……」

 日本から持ち帰った魔石、ポーション、スキルの書を研究機関で分析されたが全く未知の物で再現不可能ということが分かった。ポーションは一番ランクの低い物でも切り傷程度なら簡単に治せるなんて神業だとしか言いようがない。下級でこれなら上位の物にはどれだけの効果があるのかを考えると欲しくてたまらない。一番の凄さはどんな貧弱な者でもレベルが上がれば強くなる点だ。そうすれば、国力の向上は間違いない。


「もしもし、マラートだが。国内にダンジョンは見つかったか?」

 大統領は電話で軍の司令官に連絡を入れた。こちらも全力を注いで捜索を行っているが未だに発見できないでいた。


「まだ、発見しておりません」


「引き続き捜索を頼む。海、山、地下、雪の下も全て探すんだぞ」


 何処の国もいち早く日本と連携しダンジョンの攻略と資源を欲し日々頭を働かせて見えない戦争を行っているのだ。 


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