第17話 スキルの書の扱いはいかに?

 巣鴨から一番近い冒険者ギルド支部にある換金所に向かう。換金所は夕方ということもありこれから帰宅する冒険者で溢れ返っていたので並ぶことになった。しばらくすると祐樹の順番が回ってきた。


「それではこちらの籠の中に換金したいアイテムをお入れください」

 係りのお姉さんの指示に従って籠の中にドロップ品を入れる。入れ終わるとお姉さんは籠の中のアイテムを回収してお金に換金してくれる。


「スライムゼリー(大)1個が500円、スライムゼリー(小)20個が2000円、コボルトの耳28個が1400円、ゴブリンの耳48個が2400円、ゴブリン睾丸4個で2400円、F級の魔石が30個で3000円、E級の魔石が3個で600円で買い取らせていただきます。合計が123000円となります。ご確認ください」

 手渡されたお金をお財布に仕舞い、スキルの書の相場を聞いてみた。


「あのスキルの書っていくらぐらいで取引されているんですか?」


「そうですね。スキルの書といっても中に入っているスキルによって取引額がかなり違ってきますよ。例えば、剣術というスキルは剣を振っていれば誰でも簡単に習得することが可能なスキルですが数万円で取引されています。また、習得方法が分かっていないスキルは高額で取引されています」


「例えばなんですけど魔法系のスキルだった場合はどうなりますか?」


「魔法系のスキルはとても貴重で数が少ないこともあって最低でも1億、その中でもさらにレアな回復魔法は3億ぐらいですね」

 3億という高校生が手に入れることが出来ない額のお金に相当するものが自分のリュックの中にあるという衝撃で体が固まってしまった。


「あのどうかしましたか?」

 急に動かなくなった祐樹のことを心配したお姉さんが声をかけてきた。


「大丈夫です。質問に答えてくれてありがとうございます」


「いえいえ、質問に答えるのも私たちの仕事なので」

 お礼を言って急いで家に帰り、スキルの書をリュックから取り出してジーッと見つめる。


「これは使うべきか売るべきか……」

 これからも冒険者として活動していくなら回復手段が必要になってくるしな。今はポーションで事足りるけど、高位なポーションは高いし、戦闘中に飲むのも不便だ。でも、3億円という大金も捨てがたいがこの選択肢はないに等しい。


「よし、決めた。少しもったいないような気はするけどこれは使うことにする」

 スキルの書を開くと本が光だし、光が収まると頭の中に声が響いた。


『スキル回復魔法を獲得しました」


 名前 如月 祐樹 

 種族 人間 

 レベル 17

 HP  113

 MP  81

 物攻 102

 魔攻 69

 防御 90

 スキル

 棍棒術Lv.1 剣術Lv.1 鑑定Lv.1 計算Lv.5 回復魔法Lv.1


 ユニークスキル

 魔物収集家Lv.1


 回復魔法Lv.1(ヒール消費MP5 HPを少し回復する)


 新たなスキルを獲得して成長を続ける祐樹であったがこの後めんどくさいことになるなど夢にも思っていなかった。


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