第2話 未知なる領域に足を踏み入れる
祐樹はダンジョンを攻略して宝物と安寧を取り戻すためには、武器と防具を揃えなければならないと思い部屋にある物から使えそうなものを物色する。
「う~ん、武器になりそうな物といえばこのバットぐらいか。防具になるようなものもあればよかったけど無い物はしょうがないな。まぁ、生まれたてのダンジョンだし襲い掛かって来る魔物も弱いだろう」
身を守る防具でもあればよかったのだが、部屋着の半袖のTシャツと短パンという装備で敵と戦うことを想定すると厳しいと思うがこの際我慢することにする
バットを固く握りしめて祐樹はクローゼットを開けてダンジョンに入ろうとしたのだが、いざ対面すると恐怖で足が動かなくなってしまった。だが、ここで立ち尽くしていても時間を無駄に消費するだけで、危険度が増すかもしれないので祐樹は意を決してダンジョンへと突入した。
中は明かりが無いのだが、壁が発行しているのか昼間のように明るかった。どう進めばいいか分からないので、取り敢えず壁伝いに歩けば先に進めるだろうと思いゆっくりと奥へと進んでいった。だが、敵が現れるのかと思ったがファンタジーな生物と出会うこともなくボス部屋と思わしき扉が見えた。
「一体ぐらい魔物と鉢合わせするかなって思っていたけど敵いないな。先まで怯えていた自分がバカみたいだ」
それもそのはずこのダンジョンはまだ準備中だったため、ただの直線の通路しかった。
「もしかしてこの扉の奥にボスモンスターがいるかもしれないけど行くしかないか」
中に何かいるかもしれないが生まれたての赤ちゃんダンジョンだ。きっと大丈夫。ここまで来たからにはやってやると自棄になった祐樹はドアを勢い良く開けた。
「かかってこい……あれ?」
中に入ってみると魔物の姿はなく代わりに大きな水晶玉みたいなものが部屋の中央に鎮座していた。
「もしかしてあれがダンジョンコアかな?」
恐る恐る近づいて触れてみたがこれと言って反応は無し。
「あっ、別に触ったからと言ってダンジョンマスターになることができるわけじゃないんだな」
ダンジョンマスターになれたらいいなと淡い希望を抱いていた祐樹は肩を落として落胆してしまった。
「取り敢えずこれを破壊して家に帰るか」
バットでダンジョンコアと思われる物をぶん殴るとコアはパリーンっと砕け散ってしまった。それと同時に頭の中に機械的な声が響いた。
『祐樹のクローゼットダンジョンのコアを破壊しました。最初のダンジョン攻略報酬としてユニークスキル魔物収集家を獲得しました。コアが破壊されたのでダンジョンが消滅します。速やかに脱出してください」
「えっ!ユニークスキル、ダンジョンが消滅!?」
突然のことで頭がパニックになってしまったが消滅に巻き込まれないように急いで逃げなければと思い全速力で出口へと走る。
「ヤバいぞ。間に合えー!」
ダンジョンから脱出すると同時にダンジョンは綺麗さっぱり消滅してしまい元のクローゼットに戻ったので一安心だ。
「ふぅ~元に戻ってよかった。それにしても魔物収集家ってなんだろ聞いたことないな……強いのか分からないけど検証してみよう」
『魔物収集家』
取り敢えずスキル名を口に出していってみたが何も起きずがっかりしてしまった。
「何これ?うんともすんとも言わないんですけど。はぁ、もういいや今日は色々あって疲れたし明日にしよ」
結局クリア報酬のことは何一つわからなかった。それに、今日は色々なことがあり人生で一番精神的に疲れたということで考えるのを諦めた。
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