第3話

ある日のお昼。「今日のよっるめっしなっにかなぁ~♪」なんて歌いながら家に帰ったら父ちゃん泣いてて、かぁちゃんなんか怖い顔してる。ビビるおいら((((;゚Д゚))))


「えっ!?えっ!?どしたの?夫婦喧嘩?珍しいね。」

「違うわこのあんぽんたん」ドゴッ


いったーーーーー!!いやおちゃめな冗談ですやん。すぐ手が出るかぁちゃん怖いわぁ。(;´・ω・)


「んでどしたの?」

「グスッ、私の父から連絡があってね。ジーくんを王都の学校に推薦したって。だから王都に来るようにって。」


ジーくんっておいらの事ね、とうちゃんいっつもこう呼ぶんだよ。(;´∀`)


「あんたはどうしたいんだい?」

「えっ?おいら?」


かぁちゃんめっちゃにらんでくる。えっこれおいらが決めるの?まじで?


「別に行きたくないかなぁ。ここでのんびりしてたい。」

「ジーくん本当!!」


とうちゃん顔が乙女になってるよ。人に見られたら恋に落ちちゃうよ。


「駄目だね。あんたは王都に行っといで。」

「サニア!!何てこと言うんだ!!」


かぁちゃんが王都行きを進めるなんて珍しい。ここに残ってあたしの後を継ぎなって言われるかと思ったんだけどにゃ~。


「どして?」

「あんた、隠してる事があるだろ。」ギクッ


いやぁビックリしましたわぁ。かぁちゃん達には収納とナビさんの事伝えてない。かぁちゃん鑑定持ってないよね?持ってない?あっそう。じゃあなんでわかったん?


「不思議そうな顔してんじゃないよ。あたしゃこれでもあんたのかぁちゃんだよ。お腹痛めて・・・・はないけど産んだ子の事くらいわかるさ。」


痛めてないんかい!!えっそれって痛みもなくすぐ生まれたって事?それとも気付かないうちに生まれたって事?(;´Д`)


「まぁめんどくさがりだから行きたくないんだろうけどね。一度広い世界を見て回って損は無いよ。だから行っといで、それでやりたい事が無かったら帰っておいで。」


おぉうバレテーラ。あれ?でもこの言い方だとかぁちゃん達は王都に一緒に来ないのかにゃ?


「かぁちゃん達は一緒に来ないの?」

「ちょっと事情があるんだ。」

「とうちゃんと結婚するときに色々やらかしてるからね。多分向こうは三人で来ると思ってるだろうけど行ったら何されるかわからないし、最悪国が滅ぶから行かないよ。」


国が滅ぶって・・・・・・。色々も気になるなぁ、おいら行って大丈夫なの?


「行かなかったら毎日訓練だね。」「行かせていただきます。orz」


かぁちゃんの訓練は死ねる。魔の森で1ヵ月1人で過ごすとか、滝に打たれながらかぁちゃんからの攻撃を避けずに捌くとか。重し着けてかぁちゃんの許しが出るまで走り続けるとか。《自警団の訓練がそれですからね。》


おいらドMじゃないんでそんな訓練受けたくありません!!しかも身内に甘くないどころかヘルモード全開で訓練させられる!!《こっそり将来の為の訓練メニューを作っている事は知っています。内容は・・・・・知らないほうがいいですね。》やだ!!絶対訓練受けるのヤダ!!


だから仕方なく王都に行くことにします。まぁおとなしくしてれば目立たないでしょ。《あぁこれは絶対何かに巻き込まれますね。》フラグ建てちゃったの!?


「ジーくん。行っちゃうの?( ;∀;)」

「まぁいろいろ見て勉強してくるよん。」


一度言った事覆したらかぁちゃんの訓練ヘルからヘヴンになっちゃうよ。だから行きます。《訓練受けてひぃひぃ言っているマスターも見たかったです。》やめて死んじゃう!!


「出発は明日だ。一人で行けるね?」

「えっおいら五歳児だよ一人で行けるわけないじゃんw」

「嘘つくんじゃないよ。」ゴンッ


また殴られた(´;ω;`)

普通に考えたら五歳児が一人で他の街まで行ったら目立つでしょ!!おいら目立ちたくないの!!だから一人で行かないの!!


「(´Д`)ハァ…まったくこの子は・・・・。乗合馬車があるの知ってるだろ?それに乗っていきな。それなら一人でも目立たないよ。」

「は~い。向こうに着いたらどうすんの?」

「ほれあんた!!いつまでもいじけてないで説明しな!!」


とうちゃんおいらが行くって言ってから部屋の隅でいじけてました。


「グスン・・・・。ジーくんに手紙渡すから、向こうに着いたらそれをガンバルー商会って所に持って行ってね。怪しい人について行っちゃだめだよ?変な事されそうになったら大声で助けを呼ぶんだよ?」

「わかったよとうちゃん」


とうちゃんは心配性だなぁ。おいらにはナビさんがいるので平気だっぜ!!《任せてください極力放置します。》放置しないで!!助けて!!


「それじゃ決まったことだし今日はご馳走作ろうかね。まってな、夕飯にジークの好きな熊鍋作ってやるから。」

「えっ!?マジで!!やったー。」


何を隠そうかぁちゃんは料理がうまいのだ!!普段雑なのにねぇ不思議だねぇ(´・ω・`)《ご飯は体を作るのに必要だから覚えたそうですよ。》理由まで脳筋かい!!


そのかぁちゃんの熊鍋は魔物のジラフベアって逃げ足の速い草食の首の長いクマを使っためちゃんこうまいやつでおいらの好物なのだ!!楽しみなのだ!!《涎出てますよ。》


「じゃちょっくら行ってくるよ。」

「はい、いってらっしゃい。」

「いてらー」


かぁちゃんは森に熊狩りに、とうちゃんは畑で土仕事、おいらは川で洗濯に。桃流れてきそうだな。《桃はこの世界にありません。後川には何も流れていません》あっそうですか。(´・ω・`)


「もどったよー。」

「おかえりなさい。」

「おかりー」


夕方。かぁちゃんが帰ってきたんだけど・・・・・・・何それ?見たことも無いような大きな熊抱えて帰ってきおった。(;゚Д゚)


「かぁちゃん何それ?」

「ん?これかい?ジラフベアはね長生きすると麒麟熊ってぇのに進化するんだ。こいつはジラフベアと違って凶暴でね。いままで逃げて来た恨みをぶつけるように襲ってくんのさ。危険度も上がってて毎年何人かハンターがやられてる。でもね、こいつの肉はジラフベアとは比較にならないくらいうまくてねぇ。今日は運が良かったよ。」


うん、そんな狂暴な魔物を殺っちゃうかぁちゃんもすごいと思う。だってこれ首に一撃入れただけで仕留めてるもの・・・・・・太刀傷一つしかないよ。


「さぁ仕込むからジークも手伝いな!!」

「まかせろかぁちゃん!!」


かぁちゃんがうまいというやつはおいらからしたら激ウマのはず!!早く食べるために手伝うぜかぁちゃん!! 《欲望に忠実ですね。》


そんなこんなでできました熊鍋!!においだけでやべぇ!!涎が止まらん!!ジュルリ《意地汚いですよマスター。》だってうまそうなんだもん!!


「さぁ冷めないうちに食べるよ!!」

「「「いただきます。」」」


んほぉ~~!!肉汁の甘さにどっしりとした肉の旨味!!熊だから臭みがあるかと思ったけどない!!ハーブみたいな香りがして手が止まらん!!《マスター収納しません?収納すれば私も味わえます。》ヤダ!!


《では勝手に収納します。おぉ~これは美味しいですね。野菜と肉が旨味のハーモニーを奏でています。》おいらの分勝手に取らないで!!


「かぁちゃんこれめっちゃうまい!!」

「そうだろう?森の奥の方で薬草食ってるからね。それで肉に薬草の風味がついてるんだよ。」

「へぇ~だからこんな香りがするのか。」《さらに体力、体内魔素量、状態異常の回復効果も付いています。》万能薬かな?


普段あんまり食べないとうちゃんもモリモリ食べてるよ。皆がつがつ食べるもんだからあっという間に食べ終わっちゃった。《マスターとクリスさんはお腹がポッコリしていますね。妊娠何か月ですか?》おいらは良いけどとうちゃんの見た目が洒落にならないからやめて!?


「さっ今日はもう寝な。明日は朝早いよ。」

「はいよ、んじゃおやすみー。」

「「おやすみー」」


お腹いっぱいで幸せだぁー。明日から王都に向けて1ヵ月の移動かぁ、少し寂しい気持ちもあるけれどもナビさん使えばとうちゃんとかぁちゃんの様子はわかるし何なら手紙も出せるから大丈夫だ、さっさと布団に入って寝よう。《マスターは相変わらず我が道を進みますね。》褒めないでよ。《褒めていません。》


「すぐ寝にいったねあの子は。寂しさも感じてないのかねぇ。」

「そんなことないと思うよ。あの子なりに寂しく思っているさ。」


ジークが寝入った後サニアとクリスは二人で会話していた。


「早いもんだねぇ、もう5年も経っちまった。」

「この子もいつか大人になってお嫁さんを連れてくるんだろうなぁ。(´Д⊂)グスン」

「泣くんじゃないよ。せっかくの息子の門出だ。明日は笑顔で送ってやんな」

「わかってるよ」


二人で布団に入っているジークを見る。ジークは涎垂らして大いびき搔きながら寝ていた。


「こいつはまったく・・・大物になるかもね。」

「一緒に行かなくて大丈夫かな?回りくどい方法だけどこれ一度顔見せろって事でしょ?一人で行って何かあったら心配だし・・・・・。」

「大丈夫だよ。あの人に任せておけば安心だ。あんたとの結婚だって本当は認めていたけど周りの目も合ったからあぁ言う事にしたんだろう?」


問題は他の連中だけれど・・・・・何とかなるだろう。


「そうだね。でもやっぱりジーくんの事心配だなぁ。」

「この子なら自分で何とかするさ。頼もしい相棒もいるみたいだしね。」

「えっ!?誰かいるの!?」


サニアは小さい頃のジークがよく独り言を言っている事を不信に思い一度後を付けたことがある。そしてジークが独り言をまた言ったと思ったら自分の居場所がばれ見つかってしまった。その事からジークには精霊か何かが一緒に居ると思っている。


「秘密だよ。さぁ寝るよ、あたい達が寝坊するわけにはいかないだろう?」

「むぅ。いつか教えてもらうからね!!」

「はいはい、わかったよ。んじゃお休み。」

「お休み。」


こうして夜は更けていった。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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