少女憑依譚

@NachtKraehe

憑依1日目 : 巽 芹葉

あなたは肉体を持たない幽体です。

目も耳も手も足もなく、女の子の身体に取り憑かなければ、何もできないか弱い存在です。

もしこの状態で攻撃を受ければひとたまりもありません。

誰かに見つかる前に、一番近くにいる女の子の身体に取り憑いてください。

目も耳もありませんが、魂を見ることはできるはずです。

それでは落ち着いてゆっくり、幽体と肉体を重ね合わせて……。


どうやら、無事に憑依ができた様です。

幽体の時には感じなかった、肉体の感覚。手足の指先に、ゆっくりと血が通っていくのをあなたは感じました。

肌に当たる服の布地と、涼しい空気の感覚。

耳には音が、そして目には周囲の情景が映し出されました。

そこであなたはようやく、ここが学校の教室であることに気付きました。

どうやら授業中のようで、先生が黒板になにやら文章を書いています。

まだこの肉体に慣れていないためなのでしょうか、耳で聞こえる音は壊れたスピーカーのように波打ち不安定で、うまく聞き取れませんし、視界もぐらぐらと揺れながら霞んでいます。


ついさっきまで肉体がなかった分、生身の肉体が得ている情報量にまだ対応しきれていないのでしょう。

あなたの憑依している女の子の身体は、黒板と教科書に交互に視線を移らせながら、ノートに鉛筆を走らせています。

不明瞭な視界が上下左右に揺れ動き、あなたは車に酔ったような感覚を覚えました。

しかし、肉体の感覚に慣れてくるうちに、だんだんと目の焦点も合い、黒板の文字もはっきりと読める様になってきました。

どうやら、今は英語の授業だった様です。

波打っていた音や肌の感覚も安定してきた頃、授業は終わり、放課後となりました。


あなたが憑依している女の子は教科書やノートを通学鞄に入れて担ぐと、クラスメイトの女の子たちと談笑しながら、教室を後にしました。

「それでね、きのう室町先輩から教えてもらったんだけどね…… 」

「……なるほどー、芹ちゃん、英語得意だもんね」

芹ちゃん、というのが、どうやらあなたが憑依しているこの女の子の名前のようです。


「芹ちゃん」と廊下を歩きながら話している2人の女の子ですが、2人とも清楚な制服がよく似合う、可愛らしい女の子です。

華奢で小柄な女の子が莉子ちゃん、ウェーブがかかった髪の、ややおっとりした感じの女の子は澄水ちゃんと言うようです。

2人は部活があるらしく、芹ちゃん……つまりあなたは一足先に学校の寮へと向かいました。


石畳の道を進んだ先に、白く瀟洒な女子寮が見えてきました。

おそらく、この学校の生徒でなければ入ることの許されない場所であるはずですが、今のあなたはこの少女、芹ちゃんの身体を借りているのですから、何の問題もありませんね。


自分の部屋に向かったあなたは、部屋のプレートに「風宮夏帆」「巽芹葉」という2つの名前があるのに気付きました。

つまり、クラスメイトに芹ちゃんと呼ばれていたこの身体が巽芹葉ということで間違い無いでしょう。

ルームメイトであろう風宮夏帆という女の子は、まだこの部屋に帰ってきていないようです。

少女の肌で感じる、少女の部屋の空気。香り。


2人で暮らすには十分すぎるほど広い部屋の、クローゼットの隣。姿見の鏡の前に芹葉ちゃんは移動しました。

そこに映っているのは、清楚な制服を身に纏った、長い髪の可愛らしい女の子でした。

まだあどけなさが残っていますが、美少女と言って差し支えないでしょう。

しゅるりと制服のリボンを外すと、ブラウスのボタンを上からひとつずつ外していきます。

まさか、自分の目を通して、あなたに見られているなどとは思いもしないのでしょう。

制服のブラウスを脱ぎ去ると、可愛らしいフリルをあしらった、可愛らしい下着が顔を見せました。

スカートを脱ぐために身を屈めると、2つのふくらみの間には豊かな谷間が鏡にはっきりと映りました。

ゆっくりとスカート降りていく代わりに、白く瑞々しいふとももが露わになっていきます。

もっとじっくり見たいところですが、そんなに都合よく女の子が自分の身体に視線を固定してくれるわけもありません。

しかし、いま鏡に写っているのは紛れもなく下着姿の美少女。

その胸の2つのふくらみは、その所作に合わせてふるりと揺れ動き、少女の愛らしさに彩りを添えています。

その動きをもっと見たいと思ったあなたは、少女が視線を鏡に向けてくれるよう、強く念じました。


「えっ……?」

一瞬、少女の視界がクローゼットから鏡に移りました。

少女にとっても予期しない動きだったのか、咄嗟に身体のバランスを取り直すと、その動きに合わせて胸のふくらみがぷるんと左右に震えました。


強く念じれば、少女の視界を動かせるかもしれない、そう思ったあなたは、再び、鏡の中の少女の揺れる胸に意識を集中しました。

「あれっ……?」

少女は軽い困惑を抱きながらも、鏡の中の自分自身の胸を見つめ始めました。

白く清楚なブラに負けないほどに白く透けるような乳肌。

軽く身を屈めているために、柔らかな双丘は豊かな谷間を誇示し、少女の呼吸に合わせてほのかに優しく揺れています。

どうして急に自分の胸が見たくなったんだろう?芹葉ちゃんはそんなふうに思っているのかもしれません。

あなたは鏡の中の揺れる胸をこのままずっと見続けたいと思いましたが、芹葉ちゃんは視線をクローゼットに向け、Tシャツを取り出すと、その胸を覆い隠してしまいました。

しかし、Tシャツの布地をつんと押し上げるその美しい形は、Tシャツの上からでもはっきりと分かりました。

これはこれで……と、あなたは思いました。

芹葉ちゃんは更にクローゼットからタオルとスポンジと洗顔料と化粧水とトリートメントを取り出すと、鼻歌と共に自室を後にしました。


あなたは気付きました。

少女がこれから向かう先が、お風呂だということに。

とくん、と胸が高鳴りましたが、少女がそれに気付くことはありませんでした。

少女の足が、廊下を歩き、階段を降りて、お風呂場へと向かっていきます。

これから起きることに気付きもせず、鼻歌とまじりで、楽しそうに。


寮の1階、「←大浴場」と書かれた廊下の突き当たり。

「湯」と書かれた暖簾をくぐると、衣服を入れるためのカゴがいくつも並んだ脱衣所が現れました。

芹葉ちゃんはタオルや石鹸類をいったんカゴの中に放り込むと、Tシャツの裾に手をかけ、するりと脱ぎ去りました。

素肌を布が滑っていく感触。


そして、背中に手を回すと、ブラのホックをぱちん、と外しました。

たぷん。

支えを失った両乳が、ぷるりと震え、心地よい重量感を感じさせました。

そのままブラを取り去ると、たわわに実った白い乳果が、その全貌を表しました。

透けるように白い双丘は、その柔らかさを誇示する様にふるりと揺れ、その美しい稜線の先端は、ほのかな桜色に染まっています。

そのふくらみが少女の視界に映ったのはほんの一瞬でしたが、そのあまりの美しさに、あなたはもう一度見たいと思い、芹葉ちゃんの両眼を再び下に向けてみます。

「んー?」

まさか自分の目が勝手に動いたなどとは気付かない芹葉ちゃんの視界いっぱいに、上から見たふたつの柔らかなふくらみが広がります。

ほのかに揺れる、美少女の胸を、美少女自身の眼で盗み見る。

芹葉ちゃんは自分自身の胸を上から見つめたまま、その両手を腰に回すと、白い下着をするすると脱ぎ去っていきました。

一糸纏わぬ全裸の少女は、スポンジと石鹸類を洗面器に入れて、浴室へと歩き始めました。

脱衣所の鏡に映り込む少女の裸体を横目に、芹葉ちゃんは磨りガラスをがらりと開けて、湯気に満たされた浴室に入りました。


まだ学校の授業が終わったばかりの早い時間。

何十人かで入浴してもまだ余裕があるであろう大浴場には、まだ他の女子生徒は来ていないようです。

素肌に当たる心地よい湯気の感覚。

芹葉ちゃんは身体を洗うために、鏡の前に腰掛けました。

湯気で濡れた鏡にはっきりと映る、全裸の美少女。


少女の視界には、ちょこんと可愛らしく座る少女の裸を写す鏡の他には何もありません。

少女の動きに合わせてふるりと揺れる白いふくらみ。無駄な筋肉など存在しない、流麗なお腹のライン。艶かしい鼠蹊部に、瑞々しい太もも。

このまま額縁に入れて飾りたいほどの、淫靡で美しい光景。


芹葉ちゃんは、自分の目と自分の裸体があなたを楽しませていることなど気付かず、シャンプーを手に取ると、柔らかな長い髪を丁寧に洗い始めました。

シャンプーを泡立てるたびに、ふるふると上下左右に揺れ動く両胸。

髪からこぼれ落ちた白い泡が、白い胸を雪のように彩っていきます。


わざわざ少女の視線を動かすまでもなく、芹葉ちゃんの目には、芹葉ちゃんの震える胸が映り続けています。

リンスやトリートメントのボトルを取るたびに、シャワーで髪を洗い流すたびに、軽く身体を揺するたびに、ぷるん、ぷるんとあなたを誘うかのように2つの胸が揺れ動きます。

ときどき目を瞑ってしまうのが残念ですが、芹葉ちゃんは幼く張りのある双丘を惜しげもなく上下左右に揺らし続け、最後に水気を払うために顔をぷるぷると左右に振り動かすと、柔らかな両胸もそれに合わせてぷるんっぷるんっぷるんっとあまりにも淫らなダンスを踊らせ、あなたを楽しませました。


さて、髪を洗い終えたということは、いよいよ身体を、その白く流麗な裸身をスポンジで洗い始めると言うことです。

芹葉ちゃんはスポンジにボディソープをたっぷりと含ませると、その泡を自分自身の裸に、擦り付けていきます。

細い首に、滑らかなお腹に、可愛らしいおへそに、鼠蹊部の、その中心に。

敏感な部分をスポンジがかすめるたびに、ほのかな甘い微電流が走ります。

少女の肌を、泡が覆っていく、心地よくも淫靡な感触。

ふともも、二の腕、細い腰に、そして、ほのかに肋骨の浮かぶ胸部にスポンジが達すると、左のおっぱいがスポンジに持ち上げられ、ぷるんと震えました。

続いて、右胸の肋骨を撫でると、右のおっぱいがスポンジに持ち上げられ、ぷるんと震えました。


芹葉ちゃんはそのまま、滑らかな乳肌に泡を擦り込むように、自分の両胸を洗い始めました。

スポンジに押し込まれるたびに、むにゅんとたわみ、ふにゅんと揉まれ、その形を淫らに歪めては、ぷるんと震えて元の美しい形を取り戻す。

そして、敏感な乳肌で感じる、むず痒いようなくすぐったさ。


時間にして、ほんの十数秒ですが、それはあまりにもいやらしく、気持ちよく、濃密な時間でした。

やがて芹葉ちゃんは左手で左のおっぱいに触れると、軽く持ち上げました。

手のひらに、胸の弾力と、心地よい重量感。

左胸の下にスポンジを走らせると、今度は右のおっぱいを持ち上げました。

美少女の指で感じる、乳肌の滑らかさと、幼く張りのある柔らかさ。

少女の指で少女の胸に触れる、そのあまりの心地よさに、あなたはこの一瞬が永遠に続けばいいとすら思いました。

しかし、胸を洗い終えた芹葉ちゃんの両手は胸から離れ、シャワーヘッドを手にすると、白い泡を洗い流していきました。

全身を覆う白い泡から、まるで美しい蝶が姿を表すかのような、神秘的な光景。

芹葉ちゃんは、こんな絶景を毎日見ているのでしょうか?あなたはそれを一瞬羨ましく思いましたが、白い泡から白い裸体を表す美少女という、目の前の鏡に映る、あまりにも素晴らしい情景の前では些細なことに思えました。


「ふぃ〜、今日もいいお湯〜」

身体を洗い終え、乳白色のお湯に身を沈める芹葉ちゃん。

温泉でしょうか、肌を包み込む温かく柔らかいお湯の感触は、あまりに心地よく、芹葉ちゃんの身体の疲れがお湯に溶けていくようです。

温泉に揺れる芹葉ちゃんの裸体の感覚を楽しみながら、あなたは先ほどまでの絶景を何度も反芻していました。

自分の服を脱ぐ芹葉ちゃん。胸を揺らしながら髪を洗う芹葉ちゃん。泡だらけの身体を洗う芹葉ちゃん。

あなたは、あの素晴らしい光景をまた見たいと思いました。

このまま、芹葉ちゃんの身体に憑依し続けていれば、明日もお風呂に入る芹葉ちゃんを、芹葉ちゃんの眼で見れるでしょうか。

あんな素晴らしい光景を、美少女の恥ずかしい姿を、明後日も、そのまた明日も。毎日でも。


あなたが、そんな不埒な考えを浮かべていると、浴場の磨りガラスががらりと開きました。


「あ、やっぱり芹ちゃんだ」

「芹ちゃん、今日も一番風呂だねぇ」


そこに入ってきたのは、2人の全裸の美少女。

さっき教室で芹葉ちゃんと話していた、莉子ちゃんと澄水ちゃんでした。

「えへへっ、お風呂だいすきなんだもん」


芹葉ちゃんの目に映る、一糸纏わぬ、2人の少女。

澄水ちゃんの均整の取れたプロポーション。その胸のふくらみは、大きさこそ芹葉ちゃんより小ぶりですが、まるで陶器の人形のように美しいその形、色、張り、弾力、ほのかな揺れ動きからわかる柔らかさ、まさに美乳と言う他ない、見事な双丘でした。

一方、小柄な少女、莉子ちゃんの胸は更に小ぶりで、ほとんど揺れることがありません。しかし、すらりと伸びたしなやかな手足や折れそうなほど細く流麗なボディラインとも相まって、この年頃の少女だけが持つ危うい美しさを匂わせています。


澄水ちゃんと莉子ちゃんは、先程の芹葉ちゃんと同じように鏡の前に腰掛けると、シャンプーを手に取りました。

それはつまり、先程の芹葉ちゃんと同様、もしかするのそれ以上の美しく、いやらしく、可愛らしく、見るものを魅了してやまない絶景が、あの鏡に映し出されるということ。


さて、もう一度言いますが、あなたは肉体を持たない幽体です。

女の子の身体に取り憑かなければ、何もできないか弱い存在です。

今は芹葉ちゃんの身体に憑依していますが、いずれは他の女の子の身体に移り住むこともあるでしょう。たとえば、いま鏡の前で身体を洗っている、あの少女たちの身体に。


あなたは芹葉ちゃんの身体から抜け出ると、温泉に浸かっていた肌の感覚や、視覚や聴覚は失われてしまいます。

しかし、幽体だけが持つ、“魂を感じる感覚”だけを頼りに、あなたは数メートル先の女の子の肉体へと向かっていきます。


「ひゃうっ?」

再び蘇る、しかし、芹葉ちゃんのそれとは明らかに異なる、泡の感触、肌の匂い、憑依の瞬間発せられた、ほのかな悲鳴。


「んー、どしたの?」

「なんか冷たくて……天井から水が垂れてきたのかな?」

先ほど芹葉ちゃんの身体で慣れたためでしょうか?

霞んだ視界や、波打ち反響する音も、しばらくすると落ち着いていきました。

目の前の鏡に映るのは、一糸纏わぬ姿で自分の身体を洗う美少女の姿。

まだまだ、楽しむことができそうですね。

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