第3話“レリルール守護者”

「「ある……かむ⁇」」

「“”じゃ、ちぃと難しいかのぉ」

「「ある…なむ⁇」」


 やはり難しい様で、2人とも顔を傾げている。


「わしらが暮らしとる『レリルール王国』にはの、使”があるんじゃ」


「しょ…ご?」

「そうじゃのぉ、分かりやすく言うとな“すごい人”じゃ」


 ルシオラの質問に祖母は子供でも分かりやすく答えた。


「この“称号”は4あるんじゃ。

 まずは『空を飛ぶ事に長けた“カエルム”』わしも使っておる『魔法に長けた“マギーア”』それからこれじゃ『“魔法道具”作りに長けた“オピフェクス”』」


 そう言って【コンロ】を指差した。


「最後は『薬に長けた“”』ルクル•アニムスじゃ!」

「「おおー!」」


 ルクルは自慢する様に言うと、2人は感動してパチパチと拍手しているが、まだ理解はしていないだろう。


「そんな4人をまとめて“”と呼んでおる」

「しゅ…ご…しゃ⁇」

「守る人じゃ」


 アウラの質問にルクルはそう答えると、ルシオラは手を挙げて。


「おばあさまは、なにをまもってるの?」

「わしか?わしはのぉ、お前達を守っとるぞ」

「きゃ〜」

「わ〜」


 アウラは思い切り2人を抱き締めた。


 “レリルール守護者”はで、それぞれのの集まりだ。


(なのは“”だけしのぉ)


 実際にレリルール王国を守っているのは、王族と貴族、兵士達の役目だ。


 ただ“レリルール守護者”は膨大な知識と魔力を持っており、他国に知識と魔力ちからが渡らない様に作られた“称号”で、レリルール王国から許可がない以上、出国することは出来ないが、その分研究に適した環境が提供される。


(にとって』みたいにな)


 そして第五王妃様が王女をここに預けた最大の理由“レリルール守護者”とレリルール王国は法律ルールがあり、王宮の何処かにいる犯人から王女を隠す盾になると信じたからだ。


(この森はあの日から、人間はわしら4人しか入れへん結界もはっておる)


 ガラッと戸口が開く音が響く。


「ただいま」

「「おかあさま、くろろ、おかえりなさいー」」

「カァー」


 街に薬売りに行っていたカエルラが、バサバサッと飛んでいるクロロと共に帰宅し、アウラとルシオラが駆け寄り抱きつく。


「おかえり、どうじゃった?」

お母様アルカヌムの薬は、とても人気ですから完売ですよ。

 珍しく牛肉がとても安くて買って来ました」

「そおか」


 ルクルは何事もなく安心する。


(わしもとしやし、次期つぎの“アルカヌム”を決めるをせんとな。

 が、わしの全てを教え込んだし問題なかろう)


 “レリルール守護者”は難しい試験に合格した人だけ継承出来る“称号”で、歴代の合格者は“レリルール守護者”の知識を直接授かる事が出来る血縁者や弟子が多い。


(んでカエルラの次は…1し、ルシオラとアウラが2人で継承すれば、も隠し通せるだろうし、問題なかろう)


「ごほっ」

「カエルラどうした?風邪か?」

「街で風邪が流行っているので、そうかもしれません。ごほ、ごほっ」

「それは大変じゃ、わしがやっておくからもう休め」


 夕食の準備をしていたカエルラからエプロンを奪い取り、風邪薬を渡し休む様に促した。


「ごほ、そう…ですね。子供達にうつせないし、もう休みます。ごほっ」


 庭で楽しそうにクロロと遊ぶアウラとルシオラを見ながら、カエルラはそう言うと母に家事を頼んで自室に戻って行った。

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