効率厨は恋愛ができない。

@porty

エピローグ

はやて、俺と付き合ってくれ!」



高校二年生の春、西田春馬は人生初めての告白というものをした。否、不可抗力的にしてしまったといったほうが正しいかもしれない。


俺が告白した女性、同じ部活に所属している六郎木ろくろぎ颯。


その小動物的な見た目に、若々しさを助長するショートボブの髪型に加え、少し丈が余るぐらいの学校指定のセーター、いわゆる萌え袖とのコンビネーションは人間の内に眠る庇護欲を掻き立てる。


さらに出るところはしっかりと出ていて、思春期真っ盛りの同級生男子からの人気は高い。


しかし颯自身は男子とは会話もせず、業務連絡をするのが関の山といったところだ。


もちろん恋愛とは縁がなく、颯に気を持っていた奴らは、告白以前に呼び出しすら断られる始末。


だが、俺はそいつらとは違う、圧倒的なアドバンテージがある。


それは、同じ部活で、しかもということだ!


彼女と趣味が共通していた俺は、クラスメイトが見ていないのをいいことに部室での会話を弾ませ、次第に颯も話に乗ってくれるようになった。

しかもだ。普段男子と会話をしないことで噂の颯だが、俺にだけは普通に話してくれる。この前なんか、ほかの女子の部員もいる中で「春馬、手伝ってくれない?」といわれ、



そして現在、ほとんどの生徒が下校しだれもいなくなった部室に彼女を呼び出し、自分の気持ちを伝えた。



ぶっちゃけ一番人生で緊張したが、正直80パーぐらい成功するとおもってる。


だってこんだけフラグ建てといたら絶対成功すると思うじゃん。

あわよくば高校卒業する前にナニの卒業もいいな、できたらいいなとか思っちゃうじゃん。

てか逆にこれで成功しなかったら黒歴史じゃね?俺が勘違いしてる痛いやつみたいになっちゃうよ。


とか考えてる間に、俺の彼女(予定)が口を開く。颯の表情は屈託のない笑顔。



はい勝ち確頂きましたワー。こんなんどう考えても成功やんけ!悪いな今まで降られてきた諸君。本日をもって私は新たなステージへと移行することにするよ。

ボンボヤージュ、アリーヴェデルチ!




「えっと、友達のままじゃダメ・・かなっ」





どうも、今日から僕の名前は勘違いしてた痛い奴です。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る