本の名前『まだら雲』

小ぃさい子が空を指指して

「あぁれぇ」と言った


そこは展望台のような場所で

駅近く、ベンチもあり、二階建ての吹き抜け

リアルタイムで電車が走り

幼い子たちが親と見ている

二人連れとかママさんグループとか

楽におしゃべりしながら

子どもは透明なガラス壁にくっついて見ている

風通しもいいから

夏は辛いが冬も辛い

しかし中間は穏やかで

夕方は過ごしやすい

何より子どもたちは電車に夢中で

余程のことがない限り

「どこにもいかない」

嬉しそうに走る電車を見るだけだ


うん、夕方の帰り道、今日も電車を見る親子がいる

でも、その子は空を見上げて「あれぇ」と

間延びした声で上に手を伸ばしていた


つられて私も空を見た

見事なまだら、うろこ雲が夕方の太陽を浴びて

橙色、いや、その薄め

蜜柑みたいだ

(おお、きれいだねえ)と答えた

「きれいだねえ」とお母さんも答えていた


子どもの気を引くなんて、なかなか

今、電車よりも凄いぞ、自然

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