本の名前『悪の組織につかまった男女』

助けたい人は助けました

避難した人は避難しました

私の目の前には敵がいます

みなニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべ

私を捕虜として『女』を貪る気でしょう

戦いは、いつもそう

男と女

殺される男、物好きで生きた男は壊れる

拷問される女、膣に入れられ中に出される

どちらも終わりが見えない

ぐったりとすれば拳銃が突き付けられる

その時、ケラケラを敵は笑う

「無駄死にだったなあ、まあ最高だったよ」

「性的な意味でなああ!」

火花をふく拳銃

動かせないから

弄られすぎて腫れ上がったペニスと乳房

男のアナルは真っ赤に腫れて

女の膣は血が流れ

双方、暴力の精子がドロドロと溢れている

やっと、殺される、やっと、時間が一杯に稼げた

『私はここに』

お前らは馬鹿だろう

ここは戦場、遊ぶ場所じゃない、胎内に

心臓の奥深くにあるGPS

長く感じた暴力は、たった三日

三日で満足する馬鹿たちへ

この建物は囲まれているんだ

最後の仕上げて男を見た

憔悴した小さな笑顔

まんなか、まんなか、部屋の真ん中

敵さんは外のことに気づいて私たちを忘れた

目的地についた。目をつむった

彼と目を合わせた

救助なんて求めていない。欲しいのは勝利


ドォン、ドォッン


砲撃が始まっていた

重そうは早足がきこえる

助かるだろうね、助かるだろう

でもさ、やっぱりプライドっていらないね

平気だと思ったんだけど

未来のビジョンが浮かばない

こんな体で生きられるかな


私は笑う、彼も笑う


仲間と通信が回復して

「今行くぞ! 助けるからな! 待ってろ!」

なんて頼もしいんだろう

助けられたら……この暴行が頭の隅で再放送

私は笑った

彼も笑った


心臓に仕掛けた爆弾を発動する


欲しい情報は本部に送った


『……いいのか』


隊長の声だ。答えは口にしない


ああ、隊長が私たちの場所から隊員を引き離してくれる

それに吠える同僚が、後輩が、上司がいる

私たちは身を寄せ合った

地獄とは言えば地獄だった


でも、戦争をしているのだから辺り前だ


「うん」「うん」


彼の心臓を触る

私の心臓を触ってくれる


「失敗だと思うか?」

「うーん、必要な物は本部に送ったからナア」

「じゃあ、いっか」

「うん、そう思うよ」


この任務で私たちは抱きしめ合った

胸の熱が灼熱に変わっていく

気づいた敵どもが私たちに手を伸ばした


「遅い!」


思いっ切り言って

笑う! 侮蔑、嘲笑、早く殺しておけよ!


『じゃあな! 地獄で会おうぜ!』


光りが空間を包み揚げ、抑制、破裂する!


ああ、ごめんね、私たちの名前を呼ぶ声が聞こえる

ありがとう、また会おう

嬉しくも「輪廻転生」たる宗教が根付いているから


「ね、好きだって言ったら信じる?」

「ストックホルムの進化版?」

「いやあ、一目惚れだから喜んでるよ」

「いい性格だね」

陵辱されて拷問されて殴られて汚い言葉を散々浴びて

「あなたに会えて良かった」

「うん、おまえと心中するなら、よかった」


「「おやすみ」」


光りが天に昇る

居残っていた研究員、防衛、みんな消えた

避難していた上司同僚部下は無事

上々上々、自分勝手でごめんな

また会おう

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